採用学パネルディスカッション_20171130|DODA(デューダ)中途採用をお考えの法人様へ

コラム
【イベントレポート】<br>採用学パネルディスカッション ~“入社後の活躍”を見据えた採用~

2018.03.01

セミナー開催結果

企業を取り巻く環境や個人の価値観の変化により、採用活動も変化を求められています。特に若手社員の早期離職が課題となる中、「入社後の活躍」を見据えた採用を行っていくことが重要です。しかし目の前の採用目標人数達成に精一杯で、なかなかそこまで手が回らないという企業が多いことも事実です。

そこで去る11月30日(木)、採用学の第一人者である横浜国立大学大学院 国際社会科学研究院 准教授 服部泰宏先生をファシリテーターにお迎えし、「“入社後の活躍”を見据えた採用」をテーマに、先進的な採用を行う企業3社による具体的な事例の講演とパネルディスカッションが行われました。

入社に至るまで、そして入社後、人はどのような心理の変化があるか
/服部先生

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イベントは、服部先生による基調講演からスタートしました。「採用活動というのは、社外の人を、社内の人にしていくという特殊な活動。そこに採用特有の問題がある」という服部先生。求職者が入社に至るまで、そして入社後どのような心境の変化を辿るのか――服部先生によるこれまでの調査や学術的なデータを示しながら説明が行われました。

まずは入社前。就職活動のフェーズによって、求職者の意思決定の要因は変化します。例えば、エントリー段階では「この会社は自分にフィットするのか」といった非常に曖昧な要因。しかし選考が進むにつれ、「仕事内容や給与」といった具体的な情報により、その企業の就活を継続するかを決定していきます。「選考段階を経るごとに、求職者の焦点は抽象的なことから具体的なことに移っていきます。企業側も、その心理を踏まえてズレのない情報提供を行っていくことが重要です。」(服部先生)

入社して求職者から従業員となった後も、個人の心境は変化していきます。入社時は期待に燃えておりモチベーションが高いのですが、いざ働き始めると、理想と現実のギャップに直面し、意欲がぐっと下がることがあります。これが「リアリティショック」。新卒社員の離職理由の多くが、リアリティショックによるものだそうです。最後に服部先生は「入社前も入社後も、複雑に揺れ動く人々の心理。これに対して企業は適切に対処する必要があります」と締めくくりました。

「人材育成エンジン」~科学に基づく採用・育成施策
/セプテーニ・ホールディングス 上野氏

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セプテーニ・ホールディングス 上野氏

  次に、入社後の活躍を見据えた採用について、先進的な企業3社による事例のプレゼンテーションが行われました。トップバッターは、セプテーニ・ホールディングスの上野氏。人材の採用・育成の課題を解決すべく開発された「人材育成エンジン」を活用した施策についてお話をしていただきました。

事業成長のスピードに人事機能が適応できず困り果てていたあるときに、上野氏は現社長の佐藤氏から1冊の書籍を薦められました。それは、「マネー・ボール」。野球に関するデータを統計的に分析して選手評価や戦略に応用することで、資金力に乏しい球団がメジャーリーグを制覇するというノンフィクションです。この理論をヒントに「自社で戦力化する人材を定量的に理解・評価できる仕組みをつくろう」と試行錯誤を重ね、1つの概念にまとめました。それが「個人の成長(G=資質(P)×環境(E)[所属組織(T)+担当業務(W)]」という人材育成の方程式。「この概念に基づいて研究を進めるにあたり、FFS理論を提唱する株式会社ヒューマンロジック研究所に協力いただき、3年かけてアルゴリズムのチューニングを行いました」(上野氏)

こうして開発した「人材育成エンジン HaKaSe」を、同社は採用、配属、育成の様々な場面で活用しています。例えば新卒採用では、「その人材が入社3年でどの程度の業績を上げるか」「どんなタイプのプレーヤーとなるのか」といったアセスメントを行い、採用の合否に活用。また、新人と部門との相性をスコアリングし、相性の良い配属も行っています。こうした人事施策の提供により、戦力化する人材の割合は大きく向上したとのことです。

入社後の定着・早期活躍を支援するための取り組み
/日本アイ・ビー・エム 杉本氏

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日本アイ・ビー・エム 杉本氏

日本アイ・ビー・エムの杉本氏は、これまで20年にわたり様々な企業の人事に携わってきたスペシャリストです。同氏からはIBMの採用活動と、入社後の定着・活躍を支援する取り組みについて紹介をしていただきました。

市場環境とお客様のニーズの変化により、IBMのビジネス領域も変革が起こっています。ハードウエア事業から、お客様の課題解決をご支援するコンサルティング、システム・インテグレーション、運用保守、アウトソーシングを含むサービス事業へと大きく転換。最近では、“コグニティブ・ソリューションとクラウド・プラットフォームの会社”として自社を位置づけ、「IBM Watson」によるコグニティブ・ソリューションやクラウド・サービスの提供に注力しています。「常に変革をし続ける状況下で活躍できるのは、高い専門性を持ちながらも環境に合わせて柔軟に変化していけるバーサタイリスト。こうした適応能力の高い人材を採用できるような活動を行っています」(杉本氏)

次に、定着・早期活躍について。外資系企業では入社後、早いうちに結果を出すことが求められます。そこでIBMでは早期活躍を支援するための組織・取り組みが積極的に行われているそうです。まず新卒採用においては、学生時代からインターンシップなどで接点を持ち、彼らの興味関心や活躍しやすい環境について理解を推進。入社後も早期に成果を上げるためのサポートを提供しています。また、最近力を入れているのが中途入社の社員に対する定着支援。ここ数年、中途採用にも力を入れていることから、生まれた施策です。入社後10日間の集合研修や半年間の育成支援を行い、スムーズな定着を実現させる取り組みを行っています。人事評価においても年次の目標管理制度を撤廃し、プライオリティに沿った短期のゴール設定と成果の随時更新、そして日常的・継続的なフィードバックを通じてさらなる高みを目指す新評価制度を導入したことも話題です。「今後も時代の変化に柔軟に対応し、状況に合った人材採用・育成を行っていきたい」と、結びました。

自社にとっての採用はどうあるべきか、を考え抜く
/モザイクワーク 杉浦氏

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モザイクワーク 杉浦氏

「個が組織を裏切る時代がやってきた」と、投げかけた杉浦氏。三幸製菓の採用担当としてユニークな採用方法を編み出した後、現在は独立して企業の採用全般のコンサルティングを行っていらっしゃいます。

いわゆる“売り手市場”である採用市場。10社近く内定を得る学生も珍しくなく、また転職も当たり前に行われていく中、「どのように働き続けてもらうのかを採用フェーズからデザインしなければ、せっかく採用したのに辞めていってしまう」と、杉浦氏は危機感を募らせます。では、どうすればいいのか。最近は様々な企業がユニークな採用手法を成功させていますが、“HOW”に飛びつくだけでは、上手く行きません。答えは外にはなく、内にある。大切なのは、「自社の採用はどうあるべきか」を考え抜くこと。ここに徹底的に向き合って生み出されたのが、三幸製菓の採用です。

三幸製菓はまず「採用活動」の自社なりの定義を考えました。ヒントとなったのは、偶然にも先ほど上野氏からも語られたマネー・ボールです。「マネー・ボールでは、野球を『27個のアウトを取られるまでは終わらない競技』と再定義した。アウトを取られないためにどうするか。そう考えると、見るべきポイントも変わってきます」(杉浦氏)。三幸製菓独自の定義は、「『採用』とは、個と組織の接続。『採用活動』とは、その中における情報のやり取り」。そこで、杉浦氏は必要なタイミングで必要な情報のやり取りを行う採用方法を考えました。こうして生まれたのが、「日本一短いES」や「カフェテリア採用」。話題になった採用方法の背景には、「自社の採用はどうあるべきか」という根本的な問いがあったのです。

パネルディスカッション

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パネルディスカッション

プレゼンテーションの後は、服部先生をモデレーターとし、上野氏、杉本氏、杉浦氏によるパネルディスカッションが行われました。服部先生から「入社後の活躍は、何によって決まるか」「採用担当のKPIとは」「いつの活躍をゴールとするか、そのために採用で何を見るか」といった論点が投げかけられ、各氏がそれぞれの観点・経験から回答。また、パネルディスカッション終了後は、参加者による質疑応答が行われました。

まとめ

3社に共通しているのは、自社の状況や課題にしっかりと向き合い、自社に合った採用や育成の仕組みを創っていること。様々な情報が手に入る今、「面白そうだな」と飛びつきたくなる成功事例が世の中に溢れています。しかし方法だけを真似ても、自社に合った人材が採用できるわけではありません。一見型破りに見える採用方法も、その背景には必ず課題に基づいたロジカルで綿密な設計があるはず。学生が行う「自己分析」と同じく、「自社分析」からスタートすることが、長期的に活躍する人材を採用するための第一歩なのかもしれません。

講演者プロフィール

■横浜国立大学大学院国際社会科学府・研究院 准教授
服部泰宏氏
1980年、神奈川県生まれ。国立大学法人滋賀大学経済学部情報管理学科専任講師、准教授を経て現在に至る。神戸大学大学院経営学研究科・金井壽宏教授の門下。日本企業における組織と人の関わり合いや、日本のビジネス界における知識の普及に関する研究などに従事し、人材の採用に関する科学的アプローチである「採用学」の確立に向けた研究・教育活動に取り組む「採用学研究所」の代表を兼務。近年の主な著書に「採用学」(新潮選書)がある。

  ■株式会社セプテーニ・ホールディングス 取締役 グループ上席執行役員
上野勇氏
1998年株式会社サブ・アンド・リミナル(現株式会社セプテーニ・ホールディングス)入社。2004年に同社取締役(現任)人事総務部長、2009年に専務取締役就任。2017年 委任型執行役員制度の導入に伴い、グループ上席執行役員に就任(現任)。
2011年より『人材育成エンジン』というテクノロジーを活用した人事施策の取り組みを開始。本取り組みは、各所より高い評価を得ており、「HRテクノロジー大賞」においては、2016年の第1回目にラーニング部門、2017年の第2回目には管理システム部門にて優秀賞を受賞している。

■日本アイ・ビー・エム株式会社 人事 タレント・アクイジション 部長
杉本隆一郎氏
上智大学卒業後、一貫して人事業務を8年経験した後、2006年楽天株式会社に入社。営業職・エンジニア採用及び国際ビジネス経験者や海外MBAを中心とした幹部候補層の採用をリード。15年以上の人事業務経験を活かし、2012年リンクトイン日本法人立ち上げに人事責任者として参画。20134月より、日本オフィス代表代行としてビジネスオペレーション全般を統括。その後アクセンチュア株式会社でのJapan Recruiting Lead職を経て、20179月より現職。IBMの日本における人材採用全般を統括。

■株式会社モザイクワーク 代表取締役
杉浦二郎氏
20159月まで製菓メーカーにて人事責任者を務め、20164月に株式会社モザイクワークを設立。採用プランニングおよびブランディング構築、採用全般における企業アドバイザー等を行っている。「カフェテリア採用」「日本一短いES」等々を生み出し、TV、新聞、ビジネス誌等、多くの媒体に取り上げられる。地元新潟において、産学連携キャリアイベントを立ち上げるなど、「地方」をテーマにしたキャリア・就職支援にも取り組んでいる。

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