転職理由ランキング2020年度＜職種別＞

「営業系」の転職理由は、1位が「会社の将来性が不安」（11.6%、前年度比0.1pt増）、2位が「ほかにやりたい仕事がある」（11.4%、前年度比0.6pt減）と順位が前年度と入れ替わる形となりました。前年度から最も割合が増えた転職理由は、3位「業界の先行きが不安」（11.2%、前年度比2.1pt増）となりました。6位「市場価値を上げたい」（5.5%）、7位「顧客のためになる仕事がしたい」（3.5%）の割合も前年度から微増しており、待遇や環境の改善だけでなく、仕事の質を高めることを目的に転職活動をする人も増加傾向にあります。

「ITエンジニア」の転職理由1位は「ほかにやりたい仕事がある」で、前年度から変化はありませんでした。DXに関わる社内システムの導入等に伴う採用が引き続き活発で、ITエンジニアに人気の高い社内SEの求人も堅調。SIer（システムインテグレータ）からの転職を希望する人も増加傾向にあります。2位「専門知識･技術を習得したい」も1.8pt増の13.2％となり、新しい技術習得のために転職活動をする人が増えました。

「販売・サービス系」では、前年度に引き続き「給与に不満がある」が前年度比0.8pt減の10.5％で1位となりました。4位「雇用形態を変えたい」（7.4%）、7位「残業が多い／休日が少ない」（5.5%）、9位「不規則な勤務が不満」（4.3%）の割合も依然として高く、会社や業界の将来性の不安に加えて、年収水準を上げることや、働き方の改善を求めて転職活動を行う人が多い傾向が引き続き見られます。

「建築・土木系技術職」の転職理由は、1～6位までは前年度と同じ結果となりました。前年度比で割合が増加した転職理由では「倒産／リストラ／契約期間の満了」（9位、前年度比1.8pt増）、「業界の先行きが不安」（5位、同1.7pt増）、「会社の将来性が不安」（4位、同1.4pt増）が目立ちました。「建築・土木系技術職」は求人倍率が高く、転職で年収アップを狙いやすい状況にありましたが、採用難が続く中で、今いる社員の離職率を下げるために就業環境改善に取り組む企業が出てきています。しかし、2021年以降の市場について不安視する転職希望者も多く、働き方改革と併せて、その不安を払しょくするアプローチが必要となるでしょう。

「専門職系（コンサルタント・金融・不動産・流通）」の転職理由は、1～5位までは前年度と同じ結果となりました。1位「業界の先行きが不安」の割合は26.7%（前年度比0.5pt減）と、他職種と比較しても高い割合となっています。一方で、「市場価値を上げたい」（4.5%）は、前年度から0.5pt増となり、順位も8位から6位に上昇しました。さらに10位「昇進が望めない」が、前年度比1.2pt増で19位からTOP10入りしていることも特徴的です。

「企画・管理系」の転職理由は、1～4位までは前年度と同じ結果となりました。「市場価値を上げたい」の割合が前年度比0.1pt減の4.7％となりましたが順位は前年度7位から5位に上昇しています。専門性の高い企画・管理系業務の中でも自分の価値を高めたい、という転職希望者が増加しています。9位「倒産／リストラ／契約期間の満了」は前年度比1.2pt増と前年度16位から大幅に順位を上げており、転職理由がコロナ禍の影響など外圧的要因に関係しやすい職種であることが伺えます。

「機械・電気系エンジニア」の転職理由で、1位「会社の将来性が不安」(14.6%、前年度比1.8pt増)と2位「ほかにやりたい仕事がある」（12.3%、前年度比1.1pt減）は、前年度から順位が逆転しています。「業界の先行きが不安」と「倒産／リストラ／契約期間の満了」がそれぞれ前年度比2.3pt増と3.2pt増と割合が上昇しており、会社の経営難により転職せざるを得ない人が増加していることが分かります。

「化学系エンジニア／メディカル系専門職」では、「ほかにやりたい仕事がある」が前年度比1.1pt増の16.7%となり、2位に差をつけて前年度より引き続き1位となっています。前年度比でポイントを下げたものの3位「給与に不満がある」（8.8%）、8位「残業が多い／休日が少ない」（3.8%）、9位「人間関係がうまくいかない」も前年度より引き続きランクインしており、待遇や環境改善を目的に転職を希望する人も一定数いることが伺えます。5位「専門知識・技術を習得したい」（4.8%）の割合は微減しており、スキルアップを目指して転職活動を行う人はやや減少傾向にあります。

「クリエイティブ系」の転職理由では、前年度3位だった「会社の将来性が不安」が前年度比1pt増の10.1％と1位となりました。8位「残業が多い／休日が少ない」（6.9%）は、前年度4位から順位を下げており、働き方や働く環境の改善を転職理由として挙げる人は減少傾向にあります。その一方、前年度比4.1pt増で「倒産／リストラ／契約期間の満了」（7.1%）が前年度11位から7位へと順位を上げており、会社都合により転職を余儀なくされる人が増加しています。

「事務系（アシスタント職）」の転職理由では、1位と2位は前年度と同じ結果となりました。5位「倒産／リストラ／契約期間の満了」（5.4%）、9位「家庭環境の変化によるため」（4.1%）がTOP10に入っているなど、本人の意思とは違う外圧的要因で転職を余儀なくされる人の割合も無視できません。「事務系（アシスタント職）」は全体と比較すると求人倍率が低い職種ですが、転職で違う職場に移るケースも一定の割合でいる職種となります。