業種別・職種別に読み解く転職市場動向
※求人倍率と求人数増加率の数値に誤りがございましたので、2019年7月18日に訂正いたしました。
パーソルキャリア株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:峯尾太郎)が運営する転職サービス「doda(デューダ)」は、業種別・職種別の求人倍率を算出し、「doda転職求人倍率レポート」として発表しています。このデータは、8業種(「その他」を除く)ごと、11職種ごとに求人倍率を算出しており、転職市場における需給トレンドなどを表すものです。四半期に一度発行しており、今回は2019年1~3月の求人倍率をまとめています。
doda転職求人倍率レポート(全国)
業種では「金融」、職種では「技術系(建築・土木)」で
前年同月から求人倍率が最も上昇

doda編集長の解説
2019年1~3月の転職マーケット
1~3月の転職求人倍率は、1月2.59倍、2月2.58倍、3月2.62倍でした。3月の転職求人倍率は2018年12月比-0.39pt、前年同月比-0.19ptと、ともに下降しました。
求人数は2月に2019年度の採用を予定した求人が増えたことにより最高値(調査開始 2008年1月)を更新し、3月は横ばいでした。3月の求人数は、2018年12月比では101.1%、前年同月比では110.3%でした。
転職希望者数は、年度が替わる3月末をめどに次の職場を決めようとする人が多かったため、1月に大幅に増加し、高水準が続きました。3月の転職希望者数は、2018年12月比では115.7%、前年同月比では118.1%でした。
業種別で求人倍率が3月に前年同月から最も上昇したのは「金融」で、+0.19ptの1.86倍でした。求人数が前年同月比130.0%と大きく伸びたためで、「金融」では顧客のニーズの変化に合わせて、商品や販売チャネルの幅を広げる企業が多く、生命保険や銀行で特に採用が活発です。事務・アシスタントや企画・管理部門、金融専門職の採用シェアが上がっていることも特徴となっています。業種別で「金融」に次いで求人倍率が前年同月比で上昇したのは「商社・流通」で、3月は+0.16ptの1.21倍でした。この業種においても求人数の増加が倍率上昇の要因となっており、増加率は前年同月比で126.4%でした。産業用装置や食品、日用品を扱う専門商社において求人数の伸びが大きく、営業職やサービスエンジニアの増員を図る企業が増えています。
職種別で求人倍率が3月に前年同月から最も上昇したのは「技術系(建築・土木)」で、+0.28ptの4.89倍となりました。求人数、転職希望者数ともに増加しましたが、求人数が前年同月比133.3%と大きく伸びたことが倍率上昇の要因となりました。
職種中分類別にみると、施工管理の求人数は引き続き多く、施主側で施設管理を行う技術者やプラントエンジニアの採用も活発化しています。この職種では、勤務時間の長さや休日の少なさを理由に転職を考える人が多いため、就業環境の改善に力を入れる企業が増えており、求人で平均残業時間や年間休日の日数を打ち出し、転職希望者に訴求するケースが目立つようになっています。職種別で「技術系(建築・土木)」に次いで求人倍率が増加したのは、「企画・管理系」で、3月は前年同月比+0.12ptの2.12倍でした。求人数が増加しているためで、なかでも物流・購買、経理・財務、事業企画などで特に採用が活発化しています。「企画・管理系」では、人事や経理など、同じ職種であっても事業フェーズが変われば、やってきたことや強みの活かし方が異なるため、求人倍率が上昇している今はよりマッチングが難しくなっています。採用活動においては、自社でどのようなことができる人を採用したいのか、現場としっかりと目線合わせを行い、採用活動で応募者に伝えていくことが必要です。
2019年4月以降の転職マーケット
2019年1~3月の転職市場において、dodaを利用して転職した人の数は、前四半期に次ぐ高水準となりました。2018年と比べると、やや落ち着きを見せましたが、4月に入り2019年度の中途採用に積極的な企業は多く、求人数は過去最高の水準でしばらく踊り場となりそうです。一方、転職への関心が年々高まっているため、今年度の転職希望者数は求人数の伸びを上回る状況が続くと予想され、求人倍率は横ばいか、下降するでしょう。
前年度に比べて求人倍率が下がっているため、数値上は採用活動がしやすくなるように考えがちですが、転職希望者の約8割の方は現職を続けながら転職活動を行っており、いまの仕事や、転職市場のさまざまな求人と比較をして次の仕事を決めるため、採用にもいわゆる「マーケティングの視点」が求められるようになっています。採用に苦戦しているポジションに対しては、採用競合を把握し、自社の強みを選考の途中から応募者に伝えていくことや、他社がまだアプローチをしていない人に対し、先んじて選考を進めていくことをおすすめします。
業種別の転職市場動向(全国)
3月の転職求人倍率は、前年同月比で8業種(「その他」を除く)のうち「金融」「メーカー」「商社・流通」の3業種で上昇しました。求人数は前年同月比で「メディア」を除く7業種で増加し、増加率の高い順に「金融」(前年同月比130%)、「商社・流通」(同126%)、「メーカー」(同121%)でした。転職希望者数は8業種すべてで前年同月から増加しました。
業種 | 2019年1月 | 2019年2月 | 2019年3月 | |||
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求人倍率 | 前年同月差 | 求人倍率 | 前年同月差 | 求人倍率 | 前年同月差 | |
全体 | 2.59 | 0.01 | 2.58 | ▲ 0.21 | 2.62 | ▲ 0.19 |
IT・通信 | 7.08 | ▲ 0.15 | 6.75 | ▲ 0.85 | 7.27 | ▲ 0.62 |
メディア | 2.26 | ▲ 0.48 | 2.19 | ▲ 0.53 | 2.11 | ▲ 0.64 |
金融 | 1.75 | 0.26 | 1.80 | 0.13 | 1.86 | 0.19 |
メディカル | 2.03 | ▲ 0.25 | 2.01 | ▲ 0.20 | 2.07 | ▲ 0.20 |
メーカー | 2.20 | 0.24 | 2.17 | 0.05 | 2.12 | 0.03 |
商社・流通 | 1.15 | 0.22 | 1.17 | 0.11 | 1.21 | 0.16 |
小売・外食 | 0.89 | 0.08 | 0.93 | ▲ 0.04 | 0.95 | 0.00 |
サービス | 2.84 | ▲ 0.08 | 2.91 | ▲ 0.27 | 2.90 | ▲ 0.25 |
その他 | 1.53 | 0.05 | 1.25 | ▲ 0.30 | 1.42 | ▲ 0.57 |
職種別の転職市場動向(全国)
3月の転職求人倍率は、前年同月比で11職種のうち「企画・管理系」「技術系(IT・通信)」「技術系(建築・土木)」「事務・アシスタント系」の4職種で上昇しました。求人数は前年同月比で「企画・管理系」「技術系(IT・通信)」「技術系(電気・機械)」「技術系(メディカル)」「技術系(化学・食品)」「技術系(建築・土木)」「専門職」「事務・アシスタント系」の8職種で増加し、増加率の高い順に「事務・アシスタント系」(前年同月比158%)、「技術系(建築・土木)」(同133%)、「技術系(化学・食品)」(同126%)でした。転職希望者数は11職種すべてで前年同月から増加しました。
職種 | 2019年1月 | 2019年2月 | 2019年3月 | |||
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求人倍率 | 前年同月差 | 求人倍率 | 前年同月差 | 求人倍率 | 前年同月差 | |
全体 | 2.59 | 0.01 | 2.58 | ▲ 0.21 | 2.62 | ▲ 0.19 |
営業系 | 2.38 | ▲ 0.20 | 2.39 | ▲ 0.40 | 2.47 | ▲ 0.42 |
企画・管理系 | 2.24 | 0.40 | 2.19 | 0.24 | 2.12 | 0.12 |
技術系(IT・通信) | 9.52 | 0.30 | 8.97 | ▲ 0.18 | 9.57 | 0.07 |
技術系(電気・機械) | 5.07 | 0.51 | 4.97 | ▲ 0.03 | 4.81 | ▲ 0.16 |
技術系(メディカル) | 1.85 | ▲ 0.55 | 1.86 | ▲ 0.57 | 1.84 | ▲ 0.56 |
技術系(化学・食品) | 1.56 | 0.14 | 1.60 | 0.03 | 1.52 | ▲ 0.03 |
技術系(建築・土木) | 4.95 | 0.46 | 4.97 | 0.05 | 4.89 | 0.28 |
専門職 | 7.52 | 0.37 | 7.23 | ▲ 0.46 | 7.64 | ▲ 0.17 |
クリエイティブ系 | 2.09 | ▲ 0.30 | 1.97 | ▲ 0.63 | 1.84 | ▲ 0.68 |
販売・サービス系 | 1.07 | ▲ 0.14 | 1.14 | ▲ 0.31 | 1.14 | ▲ 0.30 |
事務・アシスタント系 | 0.31 | 0.09 | 0.30 | 0.07 | 0.31 | 0.07 |
転職求人倍率の定義
「転職求人倍率」は、dodaエージェントサービスの登録者1人に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値(小数第三位を四捨五入)。
【転職求人倍率=求人数(採用予定人員)÷ 転職希望者数】
[求人数](1)当月中に新たに登録された新規求人数(採用予定人数)と、(2)前月からの繰越求人数(採用予定人数)の合算。
[転職希望者数](3)当月中に新たに登録した新規登録者数と、(4)前月から継続登録している繰越登録者のうち当月1件以上の求人に応募した登録者の数を合算。
※求人数、転職希望者数ともに、dodaエージェントサービスに登録された求人、登録者を算出対象としています。
※繰越登録者数は、当月からさかのぼって6カ月以内の新規登録者数です。
※転職希望者の「業種」「職種」は、希望する業種・職種ではなく、直近の仕事の業種・職種です。
【2019年7月18日訂正箇所】全体の転職求人倍率/業種別 転職求人倍率/職種別 転職求人倍率/業種別 求人数増加率/職種別 求人数増加率
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