採用担当者の声

当社は現在、事業成長に向けて人材採用の規模を拡大させています。新卒採用は例年250人規模でしたが、今般は270人規模の採用を計画。建築系だけでなく、土木系や機電系を含めた幅広い学部・学科の学生を対象とし、これまで以上に多様な志向を持つ学生への対応が求められていました。中途採用でも、年間80人の採用に向けて活動しているところです。
採用手法としてはナビサイトからの流入やスカウト送信、合同説明会への出展、大学訪問による関係性強化などです。中途採用ではdodaサービスを始めとして、人材紹介サービスや求人広告、ダイレクト・リクルーティングを活用しています。また、新卒・中途ともに自社採用サイト等による広報強化に取り組んでいます。
このように採用活動を進める中で直面していたのは、「建設業そのものの魅力を訴求しなければならない」という課題でした。新卒・中途ともに採用市場が厳しさを増し、他の業界を志望する人も増え続けています。
当社は「スーパーゼネコン」の1社に位置づけられてはいるものの、盤石な体制で採用活動を進められる状況ではありません。かつてのように、待っていれば応募していただける状況ではなくなっています。大学訪問やスカウト送信、カジュアル面談など、能動的に接点をつくる取り組みが不可欠です。
また、面接に進んでいただいた応募者の「辞退率を最小化する」必要性を感じていました。
なぜ当社の面接では辞退が発生してしまうのか。応募者へアンケートを取ったところ、他社では面接の中でもアトラクトをしていることがわかりました。こうした競合環境において、面接官の態度や質問が応募者の不安を招くと辞退につながるリスクがあります。
面接を担当するのは40〜50代の管理職が中心で、採用市場の変化に伴い、面接における学生へのアプローチを見直す必要がありました。面接官一人ひとりが学生の視点に立った関わり方を身につけていく必要があったのです。

選考中に受け取る面接官の印象を変え、ポジティブな訴求ポイントにしていくため、当社はdodaの面接官トレーニングサービスを導入することとしました。
これまでも、中途採用でdodaを長く活用しています。中途採用でも転職希望者へのアトラクト向上が課題になっており、dodaの担当者は新卒採用の課題感もすぐに理解してくれました。その上で、サービスの売り込みではなく、当社の辞退理由や面接傾向を踏まえ、「面接官の質問設計」と「学生への向き合い方」に焦点を当てたトレーニングプログラムを設計・提案してくれました。
面接官トレーニングの導入にあたり、懸念がなかったわけではありません。面接官はそれぞれ自部門での本業を持っています。多忙な中で面接官トレーニング講座を受け入れてもらえるか、不安もありましたね。
そのため、ただ協力をお願いするだけではなく、面接官には、採用市場の現状データと課題感を改めて共有するところから説明を行いました。「みなさんの協力が得られなければ採用がたち行かない」と丁寧に伝え、前段の目的について、目線合わせができるよう努めました。
面接官トレーニングは、2024年度に4回、2025年度に2回実施しています。
参加者にはまず、近年の学生の価値観などを座学でインプットしてもらっています。たとえば現在の大学生は、早い段階からキャリアオーナーシップ教育を受け、自身のキャリアを自律的に考えるようになりました。その影響は就職活動にも現れており、「有名な企業だから」「条件が良いから」といった要素だけではなく、自身の成長につながる仕事であることも重視しています。こうした知識を学んで、学生への見方をアップデートしてもらいました。
さらに、面接の中で深掘りするスキルの習得にも挑んでもらいました。3人1組のワークショップを実施し、「面接官役」と「選考を受ける役」、「俯瞰(ふかん)して状況を見る役」に分かれ、ロールプレイングを行ったのです。限られた時間の面接で、具体的なエピソードを引き出し、端的に深掘り質問を重ねて掘り下げていく手法を、体系的に習得してもらいました。
トレーニングに参加したグループ長や部門責任者からは「新たな発見があった」「面接だけでなく、日ごろの社員との1on1でも活かせそう」といったポジティブな反応がありましたね。
人事の私も気づきを得られました。面接官には愛社精神が強い人が多く、自社の魅力を一方的に伝える場面が多くなっていました。その結果、応募者との対話が不足し、一部では心理的な距離が生まれていた可能性があると考えています。
もちろん、愛社精神があること自体はとても良いことです。ただ、自身の経験をポジティブに伝えるときに、それが魅力訴求につながらない場合もあると考えます。
たとえば当社独自の制度として「新入社員は1年間、同じ寮で生活する」という仕組みがあります。私も入社1年目は寮生活を送りました。当時を振り返ると貴重な体験として残っているのですが、寮生活を経験していない学生からすると不安材料になってしまうこともあるのではないでしょうか。
寮生活に不安を感じている学生に対して寮の魅力を訴求しても逆効果になる場合もあるため、不安を抱いている方については、不安に対して具体的に説明・補足するやりとりをしていく必要があります。なぜ寮生活を送ってほしいと考えているのか、会社の目的意識を明確に伝えることも重要です。
第三者の視点で面接の進め方を分析・助言いただいたことで、当社内では気づきにくかった課題を明確化できました。

当社では、選考に進んでくれた方に任意でアンケートへの回答をお願いしています。面接官トレーニングを行ってからは、「和やかな雰囲気で面接が進んだ」「良い雰囲気をつくってくれて面接官の方に感謝している」といった声が寄せられるようになりました。課題としていた辞退率改善への兆しも見え始めています。
研修に参加してもらった面接官からは、「次年度以降も実施してほしい」という声が複数上がったため、新たに面接官を務める人はもちろん、一度トレーニングを受けたことのある人も再受講できるように、研修企画を検討しているところです。
こうした成果は、dodaの担当者が当社の課題やニーズを的確に把握し、既存サービスを当社向けにカスタマイズしてくれたからこそだと感じています。実際の研修では深い知見を持つ方に登壇していただき、参加者の納得感を高めることにつながりました。
一緒にトレーニングメニューをつくっていく過程でも、多くの示唆を得ることができました。プロフェッショナルからご意見をいただき、限られた時間の研修で、どこを重点的に学んでもらうべきかを精査。「STARモデル」など、面接官トレーニングで活用するフレームなども共有していただきました。
こうした学びを、今後の採用戦略構築にも活かしていきたいと考えています。面接官によるアトラクトが向上することは、当社はもちろん、建設業全体の魅力づけにもつながっていくはずです。より多くの方々にこの業界ではたらく意義を感じてもらえるよう、引き続き面接の質を向上させていきたいと考えています。
*記事内容や社員の所属は、取材当時のものになります
