採用担当者の声

当社はデザインと技術の両方に強みを持ち、さまざまなプロダクトやサービスを手がけています。事業の柱は、自社開発と共同開発の二本立て。創業当初から自社開発を主軸にしてきましたが、近年では共同開発、いわゆるクライアントワークの事業も大きく伸長しており、当社にとって非常に重要な領域となっています。この拡大を支えるためには人的リソースの拡充が必要不可欠です。
しかし、私が入社した2018年当時は、採用体制が十分に整っていませんでした。関西と関東にそれぞれ1名の人事・採用担当者が配置されているだけで、オペレーションをマネジメントできる体制は整っておらず、属人的な努力に依存していたのが実情です。このままでは、継続的かつ再現性のある採用体制を築くことが難しいと感じ、情報の統合やシステムの整備に取り組み始めました。
具体的には、各担当者が個別に管理していたデータベースを統合し、情報を一元化することで、より効率的かつ正確な採用活動を実行。また、面接の進め方や応募者対応などについても、判断の基準を明確にし、まずは属人性を排した仕組み化を進めていきました。
中途採用の手法としては、人材紹介サービス経由での採用が全体の半分以上を占めています。求人広告やダイレクト・ソーシングの活用もしていますが、主軸はやはり人材紹介サービス。こうした中、以前から「doda」をはじめとした人材サービス各社と取引がありましたが、戦略的に活用できているとは言えない状態でした。

大きな転機となったのは、2022年に「年間約100人規模の中途採用をする」という目標を掲げたことです。この採用数を達成するためには、人材紹介サービスとの連携強化が不可欠であり、私は人材紹介サービスとの関係性を見直す必要があると感じて動き始めました。
当時の当社は、人材紹介サービスからあまり注目されない存在だったと思います。一部の人材紹介サービスの関係者から「フェンリルは人材紹介サービスからの意見を聞き入れない姿勢が見受けられる」といった評価も聞かれる中で、どうすれば“選ばれる企業”になれるかを真剣に考えました。単に「お金を払っているから言うことを聞いてもらえる」という姿勢では、良い関係性は築けません。むしろ、人材紹介サービス側が何を求めているのか、どんな情報を必要としているのかを理解し、その期待に応えることが大切だと考えるようになりました。
そこで私たちは、人材紹介サービスの営業担当がどのような数値やKPIを重視しているのかにも意識を向けました。例えば「書類通過率」を見ていると知ったときには、当社でも書類通過率を意図的に改善するような工夫を行いました。
人材紹介サービスとの信頼関係構築のための取り組みの一環として、「doda」のキャリアアドバイザー向け勉強会を実施。これは、単に人材の紹介をお願いするのではなく、キャリアアドバイザー個人のキャリアのメリットにもなる内容を企画し、相互にWin-Winの関係を築くための取り組みです。
勉強会企画に関して「doda」へ相談したところ、「一緒に取り組みたい」と前向きな姿勢でした。営業担当と相談をし、勉強会は「今よりさらに深いクリエイティブ領域の知見をキャリアアドバイザーに学んでもらう」ことをテーマとしました、あくまで「フェンリル」の勉強会ではなく、クリエイティブ領域を広く理解するための「ポートフォリオ勉強会」を企画したのです。
この勉強会では、当社の人事部門やデザイン部門が、応募者のポートフォリオをどのように評価しているのかを具体的に解説しました。本人の許可を得た上で実例を用い、実践的な知見を提供できたと考えています。これは、キャリアアドバイザーご自身の育成やスキルアップ支援にもつながる取り組みであり、採用という枠組みを超えた貢献ができたと感じています。
人材紹介サービス側の人材育成などの課題解決に向けて、当社にはまだまだできることがあると思います。引き続き、ビジネスパーソンとしてのスキルアップに貢献できる企画を考えていきたいですね。

こうした取り組みを経て、「doda」経由での採用成果が続々と生まれ、信頼関係はより強固となっていきました。
特に印象深いのは、クラウド部門での採用です。高いスキルと意欲を持つエンジニアを「doda」経由で採用できたことで、その方が中心となりAI関連事業の拡大が進みました。結果的に、部署の採用活動全体が前進し、当初20名だった部署は30名規模にまで成長しました。
また、「doda」の営業担当は当社を理解しようという姿勢が強いと感じます。当時、採用活動に課題を感じていた部署の責任者が、九州エリアの採用強化を図ろうとしていました。その際、大阪にいる「doda」担当者が現地まで足を運んでくださり、九州の担当者と直接話す機会を作っていただきました。部署の声を直接聞くことで、求人要件の解像度が高まり、「doda」から続々と最適な転職希望者を紹介していただけるようになりました。
大阪の担当者がわざわざ九州まで一緒に来てくれたことの想いや情熱に、部署の責任者も感動を覚え、その結果、「dodaと一緒に採用を進めていきたい」と考えるようになりました。こうした現場の信頼関係の構築は、非常に大きな成果につながったと感じています。
人事部門を中心とした採用活動のブラッシュアップにも取り組んでおり、「doda」にも協力していただいています。以前は「フェンリルは書類選考のフィードバックが遅い」と指摘されることもありました。このような状態では、人材紹介サービス側も転職希望者を積極的に紹介しづらくなります。そこで選考リードタイムの見直しにも着手し、改善を進めていきました。その際には、「doda」から提供していただいた市場データが非常に参考になりました。選考リードタイム以外にも、当社の採用状況や市況に関する情報提供をいただき、役員陣にも共有することで、採用や転職市況に関して社内全体の理解を得ることにつながっています。
私たちは、人材紹介サービスからの指摘に耳を傾け、すぐに改善に取り組むよう努めています。改善後の成果についても丁寧にフィードバックすることを徹底。「できない理由」を探すのではなく、「どうすればできるか」を一緒に考える姿勢を大切にしています。今後も、「doda」と共により良い関係性を築きながら、応募者の人生の選択を本気で支えていきたいと考えています。
私たちは現在、本人にとってベストな選択となるような選考を心掛けています。一次面接から最終面接まで一貫して、同じ採用担当者が応募者をフォローし、個別最適の選考体験を設計することで、応募者の人生の大きな選択(転職)に真剣に向き合っています。
「選考でご縁がなかった方でもフェンリルのファンになってほしい」。これが私たちの採用スタンスです。最大限のホスピタリティを持ち、採用活動に臨んでいます。応募者、人材紹介サービス、そして私たち自身、関わる全ての人にハピネスを与えられる採用活動をこれからも追求していきます。
*記事内容や社員の所属は、取材当時のものになります