管理部門
管理(人事、経理など)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職
マーケット概況
2022年2月~4月における管理部門の登録者数は、2021年11月~2022年1月対比で115%の増加傾向にある。
一方、求人数は、2021年11月~2022年1月対比で110%の増加となっており、2021年9月以降はこの傾向が続いている。新規事業の進出、組織拡大への増員、マネジメント体制の強化、業務フロー再構築、DX化などに取り組む企業が多く見られ、マネジメント層などの即戦力求人の割合が特に増加傾向に。また人員配置換えによる増員募集も時節柄増えている。
求職者側は、業績不振から退職を余儀なくされたり、希望退職などを検討したりするケースも増えていることから、将来に不安を抱き、今後の見通しが立たない現況を打破すべく転職活動を開始する方が増加している。「現職以上に良いところがあれば転職を考えたい」「よりキャリアを高められる環境への転職を考えたい」という慎重な転職活動をしたいという方からの登録が多い傾向にある。また、40代以上の専門性が高いスキルやマネジメント経験を持った方の登録も増加しているため、即戦力として採用を検討する企業も増加している。
コロナ禍での就業環境の変化を受け、定着しつつあるリモートワークについても転職条件の1つとして考える求職者も増えている。さらに、リモート環境下でのWeb面接活用が進んでおり、採用活動においては柔軟でいてかつスピーディな対応が求められている。
採用成功のポイント
ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
配属部門からの増員要請で上がってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。募集時には現場と適切に採用要件をすり合わせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイント。営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に求職者から応募がある状態にはなりにくいため、初回の母集団形成の中で採用に至らない場合は、採用活動が長期化することが多い。
面接通過者には都度、評価点をフィードバックすることや事業・職務の魅力を伝えるなどにより、求職者は入社後に活躍するイメージを持ちやすくなり、入社に向けた意向醸成につながりやすい。
総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下3つ。
・募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
・募集後の初回の母集団形成で、採用決定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める(Web面接の導入、書類選考の早期回収等)
・選考から採用条件の提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
また、Web面接導入により転職希望者の面接場所への移動コストが軽減され、面接が受けやすい状況下にあることから、選考期間は従来より短くなっている。求人数の伸びが大きいため、採用熱度が高い場合には、Webを活用して面接機会を増やし、採用検討していくことが採用成功のポイントになる。
経理・財務職
- 2022年2月~4月の登録者数は、2021年11月~2022年1月対比115%と増加
- 2022年2月~4月の求人数は、 2021年11月~2022年1月対比101%とほぼ変化なし
- 市況に合わせた適切な要件定義と応募者ニーズに沿った情報提供で、短期集中型選考へ
経理・財務職の登録者動向
対象:2022年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 登録者数
- 多くの企業で期末/期初・年度末/年度初めを迎え、経理・財務職の繁忙期となることが多いが、登録者数は堅調に増加した。
- 年齢
- 30歳までが約30%、31~40歳が約30%、41歳以上が約40%となっている。
- 職種
- 「経理(財務会計)」が66%と過半数を占め、「管理会計」が約16%、「財務」が約10%、「内部統制」が約8%となっている。2021年8月~10月対比、またそれ以前との比較でも大きな変化はない。事業会社の「経理(財務会計)」の採用においては、事業会社における月次決算などの実務経験者や、日商簿記2級や同等程度の知識を持った転職希望者、また業務改善など能動的な業務経験を持つ転職希望者の獲得競争が激化している。
- 出身業界
- 「メーカー」が31%、「建設・プラント・不動産」が10%と続く。そのほかの業界経験者も幅広く登録している。
- 志向性
- 経理職経験者においては、経理領域における業務範囲の拡大、専門スキル向上や経験を求める傾向がある。また、上場企業での連結決算・開示業務や、IPO業務改善、マネジメントなど、難易度の高い業務に挑戦できる環境を求める転職希望者もいるが、全体的に見ると腰を据えて着実にスキルを積んでいきたいと考える安定志向の転職希望者が多い。入社企業を決定する際、業界・会社の安定性や将来性、また、残業時間などの就業環境面を詳細まで確認したうえで、慎重に、納得感のある意思決定を行う傾向が強い。
- 新型コロナウイルスの影響
- 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、業績悪化を懸念した転職希望者が一定数存在する。また、コロナ禍を機に広まったリモートワークやフレックス制度を導入している企業など、安心して、多様に働ける、就業環境が整った企業への転職を希望する方も少なくない。
経理・財務職の求人動向
対象:2021年11月~2022年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2021年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
各社のニーズは、事業会社の決算業務やマネジメントの経験のある中堅・リーダー層や、若手のポテンシャル層に集中しており、この層は採用競争が激化している。そのため、選考において学歴・転職回数などの条件を見直したり、簿記資格を保有している未経験者にもターゲットを広げる企業などは、採用に成功する傾向がある。また、オンライン面接が定着している企業は、効率よく選考を進められており、採用活動も順調に進んでいるようだ。
経理・財務職の採用成功POINT
①転職市場の状況に沿った適切な要件定義のもと、採用要件の緩和や拡大も検討すべきであろう。もっとも優先すべき条件や項目を定めた後、その他の要件については幅広く検討することが大事である。
②経理・財務領域における業務範囲の拡大、専門性の追求を希望する応募者の場合には、入社後の仕事内容、キャリアパス、配属組織の構成、会社全体の事業展開などを明確に示し、納得感を持ってもらうことが重要である。また、待遇・就業条件などを重視する応募者には、過去実績・今後の見通しも含め可能な限り詳細な情報提供をすることが重要である。応募者のニーズに沿って、求人票や面接で細部までしっかりと情報提供を行うことで、採用成功につながる可能性が高まる。
③繁忙期の合間のタイミングで、集中して転職活動を進めたいと考える転職希望者は多い。3月決算の事業会社やその監査をする監査法人は4~6月に繁忙期となる傾向がある。その中でも、「短期集中型選考」を実施することで、選考をスムーズに進め、かつ採用成功の可能性が高まる。初回募集時に母集団内の絶対評価で判断し、競合他社に先駆けて最終選考合格・条件提示まで進めていきたい。また、普段在宅勤務をしている転職希望者の場合、オンラインであれば日中の面接がしやすい場合もある。転職希望者側が複数の企業の選考を並行して進めやすいため、選考結果通知や入社意思決定までの期間短縮がポイント。適切なタイミングで最終選考の合格通知を出すことが採用成功のカギとなる。
人事・総務職
- 2022年2月~4月の登録者は2021年11月~2022年1月対比114%と増加傾向
- 2022年2月~4月までの求人数は2021年11月~2022年1月対比113%の増加
- 転職潜在層が増加し、入社後のイメージが持てる情報提供がポイント。若手ポテンシャル層の採用は難航しているためターゲットの幅を広げることも視野に
人事・総務職の登録者動向
対象:2022年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 30歳までが約32%、31~40歳が約32%、41歳以上が約36%となっている。20代~30代後半の登録者が半数以上を占めているが、管理職や専門スキルを保有する40代の登録も増加傾向。
- 職種
- 職種別では「人事(採用・教育)」が約36%、「総務」が約30%、「人事(労務・人事制度)」が約17%、「人事(給与社保)」が約10%と続く。採用・総務経験者の登録が引き続き多い。
- 出身業界
- 「メーカー」が約21%、「IT・通信、インターネット・広告・メディア」が約13%を占める。
- 志向性
- 会社の将来性・成長性とともに自身の今後の成長のために転職を考える方も多い。今すぐに活動を開始する方だけでなく、長期的な視点から「今のうちに準備を進めたい」と登録をする方も多い。
人事・総務職の求人動向
対象:2021年11月~2022年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2021年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
リーダー・マネジメントの経験を活かし、即戦力としての活躍を期待する求人は引き続き増加しており、業務経験の豊富さや労務企画・人事企画など企画力を求める求人も増加中である。
即戦力を重視する観点から社会保険労務士の資格保有者や、資格取得に向けて勉強中の方を積極的に求めているケースもある。
ポテンシャル採用の求人も増加しており、人事職に対する想いなど志望度の高さや会社の風土との相性を重視する会社も増えている。
人事・総務職の採用成功POINT
求人数の増加やオンライン面接の導入による面接調整のしやすさから、複数の企業に応募している登録者が増えている。選考スピードの早さは依然大きなカギとなる。
また、新年度となり、転職を積極的に行う方だけでなく転職潜在層も同様に増える時期のため、選考段階ではいかに入社後のイメージをお互いに持ちながら話を進めていけるかも大事なポイントとなる。配属先の人員構成やキャリアパス、業界や会社の将来性など、入社後のイメージを明確にして安心感を持てるような情報提供が、採用成功には必要な要素になる。
さらに、即戦力採用だけでなく優秀なポテンシャル層の採用を強化している企業も増加してきていることから、採用ターゲットを広げる検討もしていくことが必要だろう。
法務・知的財産・内部監査職
- 2022年2月~4月の登録者は2021年11月~2022年1月対比110%と増加傾向
- 2022年2月~4月の求人数は2021年11月~2022年1月対比112%と増加傾向
- 経験者や弁護士資格保有者に最終選考合格の通知が複数社から集中している状況。挑戦できる環境を提供できるかがカギ。知識ある未経験ポテンシャル採用も積極的な検討を
法務・知的財産・内部監査職の登録者動向
対象:2022年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 40代以上の登録者は約51%。これは管理部門の中でも一定水準の業務理解が求められることや、幅広い豊富な知識を要することから平均年齢がもっとも高い数値となっている。
- 職種
- 「法務」が約52%と半数の割合を占め、「内部監査」が約31%、「知財財産・特許」が約17%と続く。
- 出身業界
- 「メーカー(機械・電気)」が約22%、「メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)」が約16%と大半を占める。次いで「金融」、「IT・通信」が続く。医薬品業界や不動産業界経験者は微減している。
- 志向性
- 法務は経験者の場合、業務範囲を広げたいという志向性が目立つ。契約書チェックなど限られた業務だけではなく、グローバルやM&A、新規ビジネス関連などの戦略法務を目指し、現職より学べる環境を求めている傾向。弁護士試験にチャレンジしてきた方や、法学部出身で企業法務を希望する層も増加している。総務や庶務と兼務して契約書のチェックを行っている微経験者層は、法務の業務割合を増やしたいという志向性で登録している。
法務・知的財産・内部監査職の求人動向
対象:2021年11月~2022年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※2021年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
2022年4月現在。前年同月比で1.4倍の求人数増加となった。海外展開やM&Aなど事業成長フェーズの業界・企業の求人数はやや増加傾向にある。また、ガバナンス強化や組織の拡大に伴う内部監査のニーズは多く、内部統制、内部監査の求人も増加傾向。法務機能の内製化や新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要、リモートワーク導入が進んでおり、IoTやECなどの法対応は引き続き増加すると想定される。
中でも、人材サービス業界やIT・通信業界、インターネット・広告業界は、弁護士を目指していた方や法学部出身者など、知識のある未経験者の採用を積極的に進めている傾向にある。知的財産においては、理系バックグラウンドが必要な技術系の発明発掘・特許だけでなく、商標系の求人も微増している。
法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT
弁護士資格保有者は、依然として採用難易度が高く、即戦力となる法務の実務経験者も最終選考合格の通知を複数得る傾向。転職希望者はM&Aや海外法務など、法務としての経験の幅を広げられるか、難易度の高い業務に挑戦できるかなどに興味がある。また、企業の事業戦略や方針などが担当業務に影響してくることが多いため、業界の成長性などから携われる業務を入社判断材料にする傾向がある。
前提として法務経験者が転職市場に少ない状況は変わらず、ベストマッチの採用は難易度が高い。適切に採用要件を設定し、業務への親和性や未経験のポテンシャルを重視した採用を検討することをお勧めしたい。
購買・物流職
- 2022年2月~4月の登録者数は、2021年11月~2022年1月対比117%と増加傾向
- 2022年2月~4月の求人数は、2021年11月~2022年1月対比118%と増加
- 採用要件定義は「業務遂行能力」「ポテンシャル」にフォーカスすることが成功の秘訣
購買・物流職の登録者動向
対象:2022年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 年齢
- 登録者の内訳は、30歳以下が約37%、31~40歳が約30%、41歳以上が約33%と各世代に分散している。倉庫管理・在庫管理や貿易実務などオペレーション中心の業務担当者は若手層が、SCMや物流企画、購買調達など上流工程の担当者は30代~40代かそれ以上が多い。
- 職種
- 「倉庫管理・在庫管理」が約38%、「購買・調達・バイヤー・MD」が約27%、「物流管理」が約17%と続く。ニーズが高まっている「SCM企画・物流企画・需要予測」は全体の7%程度と希少であり、求人数と登録者数にギャップが生じている。
- 出身業界
- 「運輸・物流」が約38%、「メーカー」が約36%、「商社」が約11%、「小売」が約7%と続く。
- 志向性
- 「倉庫管理・在庫管理」に従事している転職希望者は、就業環境改善や物流の上流工程への挑戦を希望するケースや、営業職などの他職種へのキャリアチェンジを希望するケースが多い。また、異業界への転職では、物流から荷主側であるメーカー・商社への挑戦を希望するケースも多い。経験豊富なミドル層以上は、部分的な管理業務から企画・戦略業務へのステップアップなど、現職では経験できない、あるいは到達するまでに時間が掛かる領域への挑戦を希望しているケースも多く見られる。「貿易業務」の実務経験者においては一層の専門性や職務の幅を求めるなど、ステップアップを希望するケースが多いが、求人数が限られていることから狭き門となっている。
購買・物流職の求人動向
対象:2021年11月~2022年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2021年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
物流業界においては、ECの増加などによる慢性的な労働力不足に加え、働き方改革も急務となっており、求人ニーズは活況。右肩上がりで増え続ける傾向にある。昨年度5月から比べると170%超えの伸長である。その背景として、各社DX推進やIoT技術を取り入れ業務改善を行うムーヴメントが起こったためである。
また一方で、現場のオペレーション業務や物流管理業務(業界問わず)、調整・改善業務やスタッフマネジメントの経験があれば、それを採用ターゲットとする企業も増えてきている。さらに購買職に限定するならば、経験者採用の求人がほとんどであることも追記しておく。
さらに、メーカー・商社など事業会社の物流・購買調達部門においては、業界・取扱商材などで業務の親和性を強く求める求人が多いようである。
購買・物流職の採用成功POINT
「SCM企画・物流企画・需要予測」・「購買」職などを担う人材は希少で、求人ニーズとの乖離が見られるため採用が難航しがちである。需給予測やコスト判断などの企画業務自体には業界特有の要素が薄いことから、業務改善経験や推進力を評価し、「業界へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保する企業が採用に成功している傾向がある。
異業種の類似業務経験者や物流コンサルタント、3PL(Third(3rd)Party Logistics)で物流企画をしている方なども検討に入れていくのはもちろんの事、若手のポテンシャル採用であれば、業界不問や職種も管理経験まで可などして対象を拡大するのが良い。商材経験が必須であれば、同商材の営業経験者を検討するなど、視点を変えて採用を行っている企業も多くなっている印象である。
また、倉庫スタッフでも作業効率などを重視する業務内容であれば、他業界でBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)や業務改善の経験者を登用するなど、できる限り対象範囲を広げておくことがポイントとなる。
そして、面接時間のアレンジは柔軟に対応するほうが良い。通常時から日中~夕方は勤務を抜けられないケースが多いうえに、新型コロナウイルスの影響で忙しさが増している転職希望者も多いため、平日19時以降や、土日の面接枠があると参加率は向上する。さらに、勤務地が遠隔地であることも多いため、Web面接の活用も大変有効である。
※こちらのPDF版レポートは、経営者や人事・採用担当者の課題解決を手助けするWebメディア「d’s JOURNAL(ディーズジャーナル)」byパーソルキャリアからダウンロードできます。
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管理部門の中途採用市場レポート(2022年5月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス