管理部門の中途採用市場レポート(2020年11月発行)

2020年11月発行
職種別マーケットレポート

管理部門

管理(人事、経理など)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職

新型コロナウイルスの影響で大きく変動する転職市場
採用成功のカギは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」

マーケット概況

2020年8月~10月における管理部門の求人数は、2020年5月~7月対比で横ばいとなっており、2020年2月以降の減少傾向から、一旦落ち着きをみせている。一方、登録者数は、約10%増となり、新型コロナウイルスの影響による市況の不安定さから、売り手市場から買い手市場への移行が明らかとなった。先行きが不透明な中においても、新型コロナウイルスの影響を強く受けている企業と、受けていない企業での二極化が顕著となっており、リーマンショック時を教訓に、採用を完全にストップさせるのではなく、組織拡大への増員、マネジメント体制強化、業務フロー再構築など、組織改善・強化に向けた動きを進める企業が多く見られる。
転職希望者側は、先行き不透明な状況から「現職以上に良いところがあれば転職を考えたい」という慎重に転職を進めたい方の登録が多い。また、新型コロナウイルスの影響による業績不振から退職を余儀なくされている方が増加している。
希望退職などを検討する企業も増えているため、社会全体での人材の流動が適切に行われることが必要となっている。優秀層の獲得に向けて、業界を越えた人材の獲得ができるチャンスでもある。また、40代以上の優秀なスキルを持った方の登録も増加しているため、即戦力として採用を検討する企業も増加傾向にある。
コロナ禍での就業環境の変化を受け、リモートワーク可能な企業を希望するなど、社会環境の変化に柔軟にスピード感を持って対応できる企業を希望条件に挙げる方が増えている。リモート環境下でのWeb面接を活用し、これまでより多くの面接を受けることが可能となっており、転職活動においても企業側、転職希望者側ともに環境への柔軟な対応が引き続き求められている。

採用成功のポイント

ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」

配属部門からの増員要請であがってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。募集時には現場と適切に採用要件をすりあわせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイント。 営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に採用候補者があがってくるという状態にはなりにくい。 初回の母集団の中で内定に至らない場合は採用が長期化するケースが多い。
総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下3つ。

・募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
・募集後の初回の母集団で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める
・選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する

また、Web面接導入により転職希望者の面接場所への移動コスト軽減され、面接を受けやすい状況下にあるため、採用熱度が高い場合には、Webを活用して面接機会を増やし採用検討していくことが採用成功のポイントになる。

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経理・財務職

ここがポイント
  • 2020年8月~10月の登録者数は、2020年5月~7月対比103%と微増
  • 2020年8月~10月の求人数は、2020年5月~7月対比101%とほぼ同水準
  • (1)転職市場の状況に合わせた適切な要件定義
    (2)入社後の仕事内容・キャリアパスの明確化
    (3)Web面接等も導入した短期集中型選考

経理・財務職の登録者動向

登録者詳細
経理・財務職の登録者詳細(2020年11月)

対象:2020年8月~10月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
41歳以上の登録者が約43%を占めており、管理部門の職種の中でも平均年齢は高めである。
職種
「経理(財務会計)」が66%と過半数を占め、「財務」が11%、「管理会計」が15%、「内部統制」が8%と、2020年5月~7月対比で大きな変化はない。事業会社の経理(財務会計)の採用においては、事業会社での月次決算など、実務経験者の獲得競争が激化している。
業界
メーカーが27%と突出しており、建設・プラント・不動産が10%と続く。その他の業界の経験者も幅広く登録しているため、出身業界は限定せずに採用を検討していきたい。
志向性
経理職経験者においては、経理領域における業務範囲の拡大、専門性の向上を希望する傾向がある。また、上場企業での連結決算・開示業務やIPO、業務改善やマネジメントなどの難易度の高い業務に挑戦できる環境を求める転職希望者もいるが、全体的に見ると腰を据えて着実にスキルを積んでいきたいと考える安定志向の転職希望者が多い。入社企業の決定の際には、業界・会社の安定性や将来性、残業時間などの就業環境面を重視する傾向が強い。
新型コロナウイルスの影響
業績悪化を懸念した登録者が増えている。上場企業出身者など、現職の環境が安定している優秀層の転職活動はやや鈍化傾向にある。

経理・財務職の求人動向

求人マーケット動向
経理・財務職の求人マーケット動向(2020年11月)

対象:2020年5月~10月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

各社のニーズは、事業会社の決算業務やマネジメントの経験のある中堅・リーダー層に集中しており、この層は獲得競争が激化している。そのため、選考において学歴・転職回数などの条件を幅広く検討している。簿記資格を保有している未経験者にもターゲットを広げて検討している企業も見られる。
Web面接が定着している企業においては、効率よく選考が進んでおり、採用が成功している傾向にある。

経理・財務職の採用成功POINT

まずは転職市場の状況に沿った適切な要件定義のもと、採用要件の緩和や拡大を行う必要がある。配属部署の担当者が採用に慣れていない場合、非現実的な採用要件で募集を行ってしまい、採用活動が数年スパンで長期化してしまうケースもあるので注意したい。
経験者は経理領域における業務範囲の拡大、専門性の向上を希望する傾向があるため、自身の希望する働き方が安心して実現できる環境かどうかを非常に重視する。そのため、業務内容や今後のキャリアパス、配属組織の構成、会社全体の事業展開など、求人票や面接で細部までしっかりと情報提供を行うことが重要。
転職活動に時間を割くことができる閑散期に効率良く選考を進めたいと考える転職希望者が多いため、「短期集中型選考」を実現することで採用成功の可能性が高まる。初回募集時に母集団内の絶対評価で判断し、競合他社に先駆けて内定・条件提示まで進めていきたい。
また、現在は新型コロナウイルスの影響で在宅勤務となり、日中の面接が可能となっている転職希望者も一定数いる。それに加えて、複数の企業の選考を並行して進められる求職者が増えているため、複数社から内定を得ていることも多い。そのため、求職者の志向性を踏まえた自社の魅力訴求と、内定までの選考期間を短縮することが採用成功のポイントとなる。

人事・総務職

ここがポイント
  • 登録者数は2020年7月対比112%と増加。依然40代・20代の登録者が多く、共に微増傾向
  • 2020年8月~10月の求人数は、2020年5月~7月対比96%と微減も、採用を再開する企業が増加
  • 登録増加中の実務経験豊富な40代。組織構成に合う場合、積極的な採用の検討を

人事・総務職の登録者動向

登録者詳細
人事・総務職の登録者詳細(2020年11月)

対象:2020年8月~10月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
40代の登録者が約37%と前回よりも高くなった。新型コロナウイルスの影響により自身の今後のキャリアを考えた際、腰を据えて長く働ける環境を求めて転職する方、給与削減など、これまでの待遇・条件面に変化があり、転職に踏み切る方も一定数いる。一方で、20代も約33%と高く、会社の将来性の不安から、早い段階で次のキャリアを視野に入れる方が増加している状況。
職種
採用・教育37%、総務29%、労務・人事制度17%、給与社保10%と続く。新型コロナウイルスの影響により、これまで担当していた採用業務が停止となり、新たな環境で経験を積むことを考える方が多い。引き続き総務には、株主総会・ファシリティ関連業務から日常的な庶務業務担当者も含まれており、登録者は増加している。
業界
トップはメーカーで22%だが、前回の24%から微減。人材サービス・アウトソーシング・コールセンターが微増。
志向性
在宅勤務が定着してきている中で「リモートワーク」など、柔軟な働き方を求める方やWeb面接を望む方が増えてきている。また、会社の将来性や、新型コロナウイルスの影響を受けない事業内容かどうかなど、社会の動きから転職先を選定する方が増加。給与社保担当者は、長期的に働ける環境や会社の安定性を好む傾向があり、採用担当者や制度担当者については、経験を活かしたうえで新たな挑戦ができるかという自身の成長を求める方が多い。

人事・総務職の求人動向

求人マーケット動向
人事・総務職の求人マーケット動向(2020年11月)

対象:2020年5月~10月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

採用・教育
新型コロナウイルスの影響で、一時採用を停止していた企業が、再開するケースが増加。採用に関しては、新卒採用・中途採用両方の経験を求める求人も増えてきている。若手層に関しては、今後の会社の成長フェーズを共に支える意欲を持っている方を積極的に見ている状況。
給与・社保
アウトソーサーやシェアードなど依然ニーズは高い。「即戦力として活躍できるかどうか」という経験重視の採用を行っている傾向も強く、年齢が高い方でも積極的に選考を進めるなど、熱度が高い。
制度
新型コロナウイルスの影響により、リモートワークの導入など、会社内の変化も増える中で、依然として制度改革の経験のある方のニーズは高い。

人事・総務職の採用成功POINT

どの職種においても若手の経験者にはオファーが集中する傾向があり、新型コロナウイルスの影響下でも登録者にとっては選択肢がある状況にある。スピード感を持った選考スケジュールがより求められる。
若手層に関しては、高校卒業や短期大学卒業の方、派遣社員経験者の登録も増加。経験は浅いものの、優秀層や意欲的な方の登録が拡大しているため、入社後の成長性という面での採用もポイントとなる。引き続き、Web面接であれば調整ができる方も多いため、転職者のニーズを把握しつつ、採用スケジュールを早めていく活動が求められる。

法務・知的財産・内部監査職

ここがポイント
  • 依然として登録者は少なく平均年齢は高めとなっている。会社の成長フェーズに携われる、といった成長環境を希望する層が増加
  • 2020年2月以降、新型コロナウイルスの影響で求人数は減少傾向
  • 経験者・弁護士資格保有者に複数のオファーが集中傾向。挑戦できる環境を提供できるかがカギ。知識ある未経験ポテンシャル採用も積極的な検討を

法務・知的財産・内部監査職の登録者動向

登録者詳細
法務・知的財産・内部監査職の登録者詳細(2020年11月)

対象:2020年8月~10月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
40代以上の登録者が50%と、管理部門の中でも一定水準の業務理解が求められることや、幅広い豊富な知識を要することから平均年齢が最も高い。
職種
法務が48%を占め、内部監査が30%、知財が22%と続く。
業界
機械電気メーカーが23%、素材化学メーカーが14%と大半を占める。次いで金融、IT通信業界が続く。不動産業界経験者は微減。
志向性
法務は業務範囲を広げたいという志向性が目立つ。契約書チェックなど限られた業務だけではなく、グローバルやM&A、新規ビジネス関連などの戦略法務を目指し、現職より学べる環境を求めている傾向。弁護士試験を続けてきた方や法学部出身で企業法務への挑戦を希望する層も増加している。

法務・知的財産・内部監査職の求人動向

求人マーケット動向
法務・知的財産・内部監査職の求人マーケット動向(2020年11月)

対象:2020年5月~10月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

海外展開やM&Aなど事業成長フェーズの業界・企業は、やや増加傾向にある。また、ガバナンス強化や組織の拡大に伴う内部監査のニーズは多く、内部統制、内部監査の求人も増加傾向。
法務機能の内製化や新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要、リモートワーク導入が進んでおり、IoTやECなどの法対応は引き続き増加すると想定される。
中でも、人材サービス業界やIT・通信業界、インターネット・広告業界は、弁護士を目指していた方や法学部出身者など、知識のある未経験者の採用を積極的に進めている傾向にある。
知財においては、理系バックグラウンドが必要な技術系の発明発掘・特許化だけでなく、商標系の求人も微増している。

法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT

弁護士資格保有者は依然として採用難易度が高く、即戦力となる法務の実務経験者も複数のオファーが集中している状況。転職希望者は、M&A・海外法務など、法務としての経験の幅を広げられるか、難易度の高い業務に挑戦できるか、また、企業の事業戦略や方針などが担当業務に影響してくることが多いため、業界の成長性などから携われる業務を入社判断材料とする傾向もある。新型コロナウイルスの影響が治まってきた後のキャリアビジョンを面接でどれだけイメージさせられるかがカギとなってくる。
前提として法務経験者が少ない状況の中で、ベストマッチの採用は難易度が高い。適切に採用要件を設定し、業務親和性やポテンシャルを重視した採用を検討することをお勧めしたい。

購買・物流職

ここがポイント
  • 2020年8月~10月の登録者数は、2020年5月~7月対比110%と増加
  • 2020年8月~10月の求人数は、2020年5月~7月対比96%と微減も、労働力不足、業務改善をテーマとした採用ニーズが引き続き高い
  • 採用要件定義は「業務遂行能力」にフォーカスすることが成功の秘訣。物流業界出身者やコンサルタントを積極的に検討するのがよい

購買・物流職の登録者動向

登録者詳細
購買・物流職の登録者詳細(2020年11月)

対象:2020年5月~10月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
登録者の内訳は、30歳以下が35%、31~40歳が29%、41歳以上が35%と各世代に分散している。倉庫管理・在庫管理や貿易実務などオペレーション中心の業務の担当者は若手層が、SCMや物流企画、購買調達など上流工程の担当者は30代・40代以上が多い。
職種
「倉庫管理・在庫管理」が35%、「購買・調達・バイヤー・MD」が28%、「物流管理」が20%と続く。ニーズが高まっている「SCM企画・物流企画・需要予測」は全体の7%と希少であり、求人数と登録者数にギャップが生じている。
業界
荷主側であるメーカーが36%、運輸・物流業界が32%、商社が10%、小売が7%と続く。
志向性
倉庫管理・在庫管理に従事している転職希望者は、就業環境改善や物流の上流工程への挑戦を希望するケースが多い。営業職などの他職種へのキャリアチェンジを希望することもある。また、異業界への転職でいうと、物流から荷主側であるメーカー・商社への挑戦を希望するケースも多い。経験豊富なミドル層以上は、一部分の管理的業務から企画・戦略業務へのステップアップなど、現職では経験できない、あるいは到達するまでに時間がかかる領域への挑戦を希望しているケースも多く見られる。

購買・物流職の求人動向

求人マーケット動向
購買・物流職の求人マーケット動向(2020年11月)

対象:2020年5月~10月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※5月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

物流業界においては、ECの増加などによる慢性的な労働力不足に加え、働き方改革も急務となっており、求人ニーズは活況となっている。現場のオペレーション業務においては、物流業務の経験がなくても、調整・改善業務やスタッフマネジメントの経験があれば、ターゲットとする企業が増えてきている。
メーカー・商社など事業会社の物流・購買調達部門においては、業界・取扱商材などの親和性を強く求める求人が多い。新型コロナウイルスの影響による業務の混乱や採用計画の変更により、特に海外とのやり取りのある部門の求人は選考が中断となったケースもあるが、落ち着きを取り戻し、採用活動を再開している企業も見られるようになってきた。

購買・物流職の採用成功POINT

SCMや物流企画などを担う人材は希少で、採用が難航しがちである。需給予測やコスト判断などの企画業務自体には業界特有の要素が薄いことから、企画力や推進力を評価し、「業界へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保する企業が採用に成功している傾向がある。
異業種の類似業務経験者や物流コンサルタント、3PLで物流企画をしている方なども検討に入れ、対象を拡大していくのがよい。
商材経験が必須であれば、同商材の営業経験者を検討するなど、視点を変えて採用を行っている企業が見受けられる。
倉庫スタッフでも作業効率などを重視する際には、他業界でBPRや業務改善の経験者を登用するなど、できる限り対象範囲を広げておくことがポイントとなる。
面接時間のアレンジは柔軟に対応するのがよい。通常時から日中~夕方は勤務を抜けられないケースが多いうえに、新型コロナウイルスの影響で忙しさが増している転職希望者も多いため、平日19時以降や、土日の面接枠があると参加率は向上する。勤務地が遠隔地であることも多いため、Web面接の活用も大変有効である。

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