求人募集で年齢制限は設けられる?認められるケースを紹介

求人募集で年齢制限は設けられる?認められるケースを紹介

求人募集で年齢制限は設けられる?認められるケースを紹介

2025.10.24(最終更新日:2025.10.21)

中途採用のキホン

「自社に若い世代を引き入れたい」などの考えから、採用する人材の年齢層を限定したくなる場合もあるでしょう。しかし、実は求人募集に年齢制限を設けることは法律によって原則禁止されているのです。
ただし「原則」とある通り、例外的に年齢制限の設定が認められる場合もあります。

法令を順守した採用活動を行うためにも、本記事の内容を参考に、年齢制限が認められないケースと例外的に認められるケースを把握していきましょう。

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求人募集で年齢制限は可能?

求人募集に年齢制限を設けることは、原則として認められていません。厚生労働省から提示された以下の案内の通り、労働施策総合推進法で禁止されているためです。

労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)では、事業主に対し、募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることを禁止しています。平成19年の法改正により義務化され、年齢に関係なく応募できる機会を確保することを目的としております。

(引用:厚生労働省『募集・採用における年齢制限禁止について』)

また、募集要項に年齢制限を設けていなくとも、書類選考や面接で年齢を理由に採用の可否を決めた場合も、同様に法律違反となる可能性があります。募集した人材を選考する際は、経歴やスキルなどの年齢以外の事項を基に検討する必要があるのです。

年齢制限を原則として設けられなくなった理由

雇用対策法が2007年に改正されるまでは、採用活動での「年齢制限の禁止」は努力義務であり、対応必須ではありませんでした。しかし、以下に挙げた2つの理由から国が法改正に踏み切り、原則として年齢制限を設けられなくなった、という事情があります。
ここでは、それぞれの理由について詳細を解説します。

年齢制限を原則として設けられなくなった理由

  • 1.持続的な経済成長のため
  • 2.年齢に関係なくはたらける社会の実現のため

理由1.持続的な経済成長のため

年齢制限が設けられなくなった背景には、日本の経済を持続的に成長させるという目的があります。

近年の少子高齢化の影響により、日本では15~64歳の生産年齢人口が減少しつつあり、今後もこの傾向が続くと見込まれています。このような状況下で経済を成長させるためには、年齢にかかわらず、意欲があり活躍が見込める人材に積極的にはたらいてもらわなくてはなりません。

(参照:厚生労働省『第2-(1)-1図 我が国の生産年齢人口の推移と将来推計』)

しかし2007年の法改正以前は、経験やスキルが十分な人材でも、年齢を理由に採用が見送られるというケースが少なくありませんでした。このままでは労働力人口の回復、さらには持続的な経済成長が実現できないため、結果として年齢を理由に採用・不採用を決めることが禁止となったのです。

理由2.年齢に関係なくはたらける社会の実現のため

社会に生きる一人ひとりが自由にはたらける社会を実現することも、年齢制限が禁止された目的の一つです。

近年は、年齢や性別といった属性ではなく、その人の持つスキルや適性を判断した上で採用の可否を決めることが大切である、という考えが社会全体に浸透しています。政府もその考えを重要視しており、厚生労働省からも以下の通り案内が出ています。

年齢制限禁止の義務化は、個々人の能力、適性を判断して募集・採用していただくことで一人ひとりにより均等な働く機会が与えられるようにすることを目的としています。

(引用:厚生労働省『その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?』)

企業として公正な観点で人材を採用することが、現代社会では必須の対応となっているのです。

求人募集で年齢制限に該当する文言

実際にどのような文言を求人募集に載せると、年齢制限に該当してしまうのでしょうか?以下に具体例を整理したので、人材を募集する際は類似した内容を掲載しないように注意しましょう。

年齢制限と見なされる文言の例

文言の例 年齢制限となる理由
30歳前後の方が対象 あいまいな表現でも年齢制限であることに変わりないため
顧客層が若年層のため25歳以下の方歓迎 顧客層と業務内容は無関係であり、年齢制限を設ける適切な理由とはならないため
30歳以上は経験者のみ
30歳以上は営業職限定
年齢を基準とした応募条件を設けることも認められていないため
平成○年○月○日以降に生まれた方 年齢は記載していないが、実質的な年齢制限であるため
若い方歓迎 年齢や生年月日は記載していないが、実質的に年齢制限となるため

直接的に年齢を記載していなくとも実質的に制限となるような文言は、違法と見なされる可能性があります。従って、表現の粒度や用いる文言にかかわらず、年齢に関連する条件は記載を避けるべきでしょう。

求人募集で年齢制限が認められるケース

原則として求人募集には年齢制限を設けられませんが、実は例外的に認められるケースもあります。ここでは、その例外に該当する6つのケースを順に解説します。

求人募集で年齢制限が認められる6つのケース

  • 1.定年の年齢を上限とするケース
  • 2.法律で年齢制限が設けられているケース
  • 3.キャリア形成を目的に若年層を募集するケース
  • 4.技術・ノウハウを継承する目的で特定の人材を募集するケース
  • 5.芸術・芸能の分野で特定の年齢の人材を募集するケース
  • 6.「特定の年齢層の雇用を促進する施策」の対象となる人材を募集するケース

(参照:厚生労働省『その募集・採用年齢にこだわっていませんか?』)

1.定年の年齢を上限とするケース

定年がある会社で人材を募集する際は、定年年齢を上限として年齢制限を設けることが認められます。例えば定年が60歳の企業なら、「60歳未満の方が対象」という条件を募集要項に記載可能です。

ただし、以下のいずれかのケースに該当する場合は、定年年齢でも制限を設けられないため注意しましょう。

定年での年齢制限が認められないケース

  • 有期労働契約を結ぶ場合
  • 実際の定年年齢と募集要項の上限年齢が異なる場合
  • 上限とは別に下限も設定している場合
  • 業務の習熟に要する期間だけ、上限年齢を下げている場合

最後のケースは、例えば習熟までに2年を要する業務で定年が60歳の場合、年齢制限の上限を58歳としてはならない、ということを意味しています。

2.法律で年齢制限が設けられているケース

労働基準法やその他の法律によって、就労可能な年齢層が制限されている特定の業務に関しては、募集する人材の年齢も制限可能です。具体例としては、労働基準法第62条で指定されている危険有害業務や、警備業法第14条で定められている警備業務などが挙げられます。これらはどちらも満18歳未満の人材の就労が禁じられているため、募集要項にも「18歳以上の方を募集」と記載できます。

3.キャリア形成を目的に若年層を募集するケース

本ケースは、企業の継続的な発展を実現するために、35歳未満の若年層を採用し長期的にキャリアを形成させることを目的とするものです。「新卒一括採用からの長期雇用によるキャリア形成」という、日本の慣行的な雇用の枠組みに合わせた例外だといえるでしょう。
また、雇用情勢の悪化などの影響で正社員になれなかった人が増加している現状を打破することも、もう一つの目的としてあります。

なお、本ケースを適用する際は以下の条件を満たさなくてはなりません。

キャリア形成を目的に若年層を募集するための条件

  • 期間の定めのない労働契約を結ぶこと
  • 対象者の職業経験について不問とすること
  • 新卒者以外の者も新卒者と同等の処遇にすること
  • 下限年齢を設定していないこと

また、「若年層の人材が欲しい」という理由だけで、本ケースを適用することもできません。本ケースの目的は、長期雇用によって人材に専門的な知識やスキルを習得させることにあり、企業側には人材を積極的に育成するという姿勢が求められます。つまり、入社後の教育体制やキャリアアップの仕組みなどを整備する必要があるのです。

4.技術・ノウハウを継承する目的で特定の人材を募集するケース

電気通信技術者や水産技術者など、専門的な技術やノウハウが必要な職種では、世代から世代へと技能を継承していくことが非常に重要となります。しかしそのためには、年齢層ごとにまんべんなく人材が在籍していなくてはなりません。
そこで一部の職種では、以下の条件を満たす場合に、特定の年齢層に絞って人材を採用することが認められているのです。

技術・ノウハウを継承する目的で特定の人材を募集するための条件

  • 期間の定めのない労働契約を結ぶこと
  • 30~49歳の範囲で、特定の5~10歳幅の年齢層を対象とすること
  • 募集対象の年齢層の労働者数が、上下の年齢層の人数と比較して2分の1以下であること

例えば、自社内の電気通信技術者の人数が、20~29歳で10人、30~39歳で2人、40~49歳で12人のケースを考えてみましょう。このケースでは、30~39歳の労働者数が、20~29歳の層と40~49歳の層それぞれの人数と比べて半分以下であるため、電気通信技術者を募集する際に年齢制限を設けられます。
一方で、募集する年齢層が30~49歳の間に収まっていない、また年齢幅が5~10歳区切りではない場合は、本ケースを適用できません。

5.芸術・芸能の分野で特定の年齢の人材を募集するケース

芸術・芸能の分野では、表現の真実性の観点から、特定の年齢に絞って人材を募集せざるを得ないケースがあります。例えば、ドラマや映画の子役を募集する際は、同じ年代の役者を募集することが自然でしょう。このような場合でも、採用する人材を特定の年齢層に限ることが認められます。

なお、特定の年齢層を対象とした商品やサービスの提供が目的であり、芸術・芸能の分野に該当しない募集については、本ケースの適用対象外となります。

6.「特定の年齢層の雇用を促進する施策」の対象となる人材を採用するケース

60歳以上の高年齢者、または特定の年齢層の雇用を促進する国の施策に基づき人材を採用する場合も、年齢制限を設けて問題ありません。

ただし、60歳以上の方を雇用する際に「60歳以上70歳以下」というふうに、上限を設けてはならないことに注意しましょう。また、国の施策を利用するにもかかわらず、その施策の対象とならない範囲で年齢を制限することも認められていません。

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求人募集で年齢制限を設けないことで企業が得られるメリット

求人募集に年齢制限を設けないことが、以下に挙げる3つのメリットにつながる可能性もあります。それぞれの詳細を順に解説します。

求人募集で年齢制限を設けないことで企業が得られるメリット

  • 1.応募の数が増える
  • 2.自社に合った人材を採用できる可能性が高まる
  • 3.職場が活性化する

メリット1.応募の数が増える

年齢制限を設けなければ必然的に採用の範囲が広がるため、応募数が増える可能性があります。

採用活動では、より多くの人材に自社に興味を持ってもらうことが、非常に重要となります。応募数が少ない状況では、自社に合った人材を見つけることも難しくなるためです。

年齢制限がなければ、より幅広い年代の人材との接点が生まれて、応募数の増加のみならず、新しい観点からのイノベーション創出につながる期待が持てます。採用活動の品質向上を図る上で、年齢制限を設けないことは重要なアクションであるといえるでしょう。

メリット2.自社に合った人材を採用できる可能性が高まる

年齢というある種の「色眼鏡」を採用の観点から外すことが、自社に合った人材の採用にもつながります。

例えば、重い荷物を取り扱う仕事で人材を募集する際、「体力がありそうだ」という理由から若年層を積極的に採用したくなるかもしれません。しかし実際には、若年層だからといって必ず体力があるわけではなく、反対に高年齢者のほうが、豊富な実務経験により即戦力としての活躍が見込める場合もあります。
つまり、年齢を基準に採用活動を行うと、人材の本質を見誤ってしまう恐れがあるのです。

年齢ではなく、その人材が持っているスキルやそれまでの経歴などを見ることが、採用活動で確かな成果を出すためのポイントです。

メリット3.職場が活性化する

職場の雰囲気を活性化させるという点でも、年齢にこだわらず人材を採用することが重要です。

例えば、若年層の割合が多い企業に経験者枠として中高年者を迎え入れることで、既存従業員のスキル面の醸成を促せます。反対に、中高年者の比率が高い企業で若年層を採用すれば、職場に新しい価値観が持ち込まれ、それまでにないアイデアの創出へとつながります。

年齢制限を設けずに求める人材を採用するためのポイント

最後に、年齢を制限せずに自社に合った人材を採用するための、4つのポイントを解説します。それぞれの詳細は以下の通りです。

年齢制限を設けずに求める人材を採用するポイント

  • 1.求める人材の要件を募集要項に明確に記載する
  • 2.求める人材に合う職場環境をアピールする
  • 3.求める人材に合う求人サイトを選定する
  • 4.人材紹介サービスを活用する

1.求める人材の要件を募集要項に明確に記載する

自社が求める人材の要件を明らかにした上で、募集要項にもその内容を明記することが、採用活動での大切なポイントの一つです。求めるスキルや経歴といった業務に関連する事項のほか、仕事で重視する価値観や人柄など、共にはたらく上で見極めたいポイントも詳細に記載しましょう。

人材要件が明確になれば採用活動の方針もぶれなくなり、ミスマッチの発生防止にもつながります。また要件を詳細に明記することで、「この要件なら活躍できそうだ」と転職希望者に思ってもらえる可能性も高まるでしょう。

関連記事:募集要項とは?必須項目例と正しい書き方、採用までの流れ【テンプレート付き】

2.求める人材に合う職場環境をアピールする

「法律の範囲内で何とか特定の年齢層にアプローチしたい」という人事・採用担当者もいらっしゃるでしょう。その場合は、求める人材が魅力的に感じると思われるポイントを、積極的にアピールすることをお勧めします。

例えば、若年層からの応募を増やしたいのであれば、入社後の研修やOJTによるサポート体制などが充実している旨を募集要項に記載しましょう。「ここに入社したらどんどん成長できそうだ」という具体的なイメージを持ってもらうことが大切です。

反対に、十分なキャリアを積んだ中高年者層に対しては、任せる案件やプロジェクトの詳細、また入社後のポジションなどを提示する手法が効果的です。「自分の実力をここで発揮したい」という想いが転職希望者の中で強くなれば、応募につながる可能性も高まります。

3.求める人材に合う求人サイトを選定する

募集要項を掲載する求人サイトを選定することも求める人材にアプローチする場合の対応として欠かせません。

昨今はさまざまなタイプの求人サイトがありますが、年齢層によって利用しているサイトに違いが出る傾向にあります。そのためまずは、各求人サイトの主な利用者層を調査した上で、自社が求める年齢層がメインで利用しているサイトを探し出しましょう。

また、複数のサイトを同時並行で利用することも重要です。Web上での露出を増やすことで求める人材との接点が増えて、応募数を増やせる可能性があります。

4.人材紹介サービスを活用する

自社だけでの採用活動に限界を感じた場合は、人材紹介サービスの活用をお勧めします。
採用のプロが自社の代わりに選定を行うため、自社に合った人材を採用できる可能性を高められます。また、スケジュールの調整やメール対応なども任せられるので、自社の人事・採用担当者の業務負担も削減可能です。

なお、人材紹介サービスを活用する場合であっても、明確な年齢制限は設けてはなりません。人材紹介サービス会社に対しては、求めるスキルや人柄などの年齢以外の要件を伝えることを徹底してください。提示した要件に合致した人材であれば、その年齢にかかわらず自社での活躍が期待できるでしょう。

関連記事:人材紹介サービスとは?図で解説。特徴とメリット、押さえておきたい利用の流れについてのポイント

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求人募集での年齢制限は原則禁止だが、例外も存在する

求人募集に年齢制限を設けることは、法律により原則禁止と定められています。ただし、法律によって就労者の年齢が制限されている、またキャリア形成を目的に若年層を採用する場合などでは、例外的に年齢制限を設けても問題ありません。

また、年齢制限を設けないことで、結果的に採用活動の状況が好転する可能性もあります。人材像を明確にした上で試用期間を設けるなどして、年齢を制限せずに採用活動を進めることが、自社に合った人材を見つけるための最適解となり得るのです。

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