2026.02.26
中途採用のキホン
少子高齢化やはたらき方の多様化が進む近年では、人材の採用は年々難しくなっています。そのような状況では、自社の採用活動を分析し、改善を重ねることが重要です。
本記事では、採用分析の概要を説明した上で、採用活動を通して収集できるデータの種類や具体的な分析方法、活用するためのポイントを紹介します。自社の採用活動に課題を感じている人事・採用担当者は、参考にしてください。

採用分析とは?
採用分析とは、応募から入社に至るまでの採用活動をデータとして可視化し、課題や改善点を明確にする手法のことです。分析するデータとしては、例えば応募数や選考通過率、採用単価などが挙げられます。客観的な数値に基づいて施策を検証・改善することで、採用ミスマッチの防止や定着率の向上が目指せます。
つまり採用分析は、人材の採用が困難となりつつある状況で、自社の採用力を高めるために欠かせない取り組みといえるでしょう。
採用分析で扱う主なデータ項目一覧
採用活動の分析に必要なデータ項目は、以下のように大まかに分類できます。
採用分析で必要となるデータの分類
- 人数に関するデータ
- 費用に関するデータ
- 期間や時間に関するデータ
- その他のデータ
本項では、それぞれ具体的にどのようなデータが該当するのかを紹介します。
人数に関するデータ
人数に関するデータとは、次のような項目を指します。
人数に関するデータとして挙げられる項目
- 求人への応募数
- 求人媒体別の応募数
- 説明会の参加人数
- 採用イベント別の参加人数
- 選考を通過した人数
- 選考を辞退した人数
- 入社を承諾した人数
- 入社を辞退した人数
- 入社した人数
これらのデータは、採用活動の成果を評価するために重要な要素となります。プロセスごとに細分化して分析できるよう、こまめに収集しておくことが大切です。
費用に関するデータ
採用活動の費用対効果を分析するには、費用に関するデータを把握することが必要です。例えば、以下の項目が挙げられます。
費用に関するデータとして挙げられる項目
- 採用活動全体にかかった費用
- 各求人媒体にかかった費用
- 採用活動に関連する宣伝にかかった費用
- 採用パンフレットや配布資料の制作にかかった費用
- 説明会の開催にかかった費用
- 採用イベントの出展にかかった費用
- 入社を承諾した転職希望者へのフォローにかかった費用
- 人事・採用担当者の人件費
- 採用活動に携わった社員の人件費
投入した費用のデータを正確に把握できれば、実際の成果と比較して、費用対効果の分析に活かせます。
期間や時間に関するデータ
期間や時間に関するデータには、以下の項目が該当します。
期間や時間に関するデータとして挙げられる項目
- 採用活動全体にかかった日数
- 選考にかかった日数
- 各採用プロセスの日数
- 各採用業務にかかった時間
上記は、採用活動の効率化を図るために欠かせない指標です。ただし、「各採用業務にかかった時間」のように計測に手間がかかる項目もあるため、分析に必要かどうかは慎重に見極めましょう。
その他のデータ
ここまでで紹介したデータのほかに、次のような項目を採用分析に活かすことも効果的です。
採用分析に役立つその他のデータ項目
- 入社3年以内の離職者数
- 採用した人材が満たしている採用要件の項目数
- スカウトメールの送信数・返信数
- 各種アンケートの回答内容
このようなデータを分析することで、「情報提供は十分だったか?」「アプローチ手法に問題はなかったか?」などの観点から自社の採用活動を見直せます。結果として、自社の採用の精度や成果を向上させる効果が期待できます。

採用分析で押さえておきたい基本
成果につながる採用分析を行うには、以下の基本項目を意識して実践することが大切です。
採用分析の効果を高めるために意識したいこと
- データを比較する
- 時系列で確認する
- 要因を探る
データを比較する
採用分析を効果的に進めるためには、データをただ集めるだけでなく、継続的に比較することが重要です。
例えば、過去と現在の応募数や選考通過率、採用単価、選考期間などを比較すると、施策の成果や改善点を客観的に把握できます。さらに、部署別や職種別、求人媒体別などの視点からも分析を行うことで、より精度の高い採用戦略を立案できるでしょう。
時系列で確認する
採用分析では、各データを時系列で整理し、推移を確認することも欠かせません。月別や四半期別、年度別などの変化を把握することで、良い結果が得られるタイミングや傾向を客観的に分析できるためです。
特に通年で中途採用を行う場合は、採用施策の実施時期や市場動向と照らし合わせて分析し、季節性による傾向をつかむ必要があります。成果につながった要因や改善点が明確になれば、次の採用活動にも活かせます。
関連記事:中途採用に適した時期とは?データでみる求人が多い時期と少ない時期を解説
要因を探る
採用活動のデータを比較する際は、数値に変化をもたらしている要因も突き止めましょう。具体的には、採用手法や求人内容、選考フローなどの観点から多角的に分析します。
また、数値データと併せて、実際に面接を担当した社員の意見や転職希望者の声といった定性データも活用すると効果的です。採用課題の本質が明らかになり、実効性の高い改善策を立案しやすくなります。
採用活動において分析すると良い内容と算出方法
自社の採用活動を分析する際は、次の内容に注目しましょう。
採用分析で重視したい内容
- 費用対効果
- 歩留まり率
- エンゲージメント
本項では、それぞれの概要と分析が必要な理由、そして算出方法を解説します。
費用対効果
「採用活動にかかった費用に対して、十分な成果が得られているか?」という観点から分析することは、プロセスごとに費用を適正に割り振るために不可欠です。そのためには、1人当たりの採用にかかる費用の合計である「採用単価」を算出し、見直す必要があります。
採用単価を算出する計算式は、以下の通りです。
採用単価を算出する計算式
採用コストの総額(外部コスト+内部コスト)÷採用人数
外部コストと内部コストは、いずれも採用活動にかかる費用ですが、何に対して支払われる費用なのかは異なります。例えば、求人広告費や採用イベントの開催にかかる費用などは、外部コストに該当します。一方で、人事・採用担当者の人件費や転職希望者に支給する交通費などは内部コストです。両者の違いを踏まえて採用単価を正しく算出し、費用を適切に配分できているかどうかを確認しましょう。
歩留まり率
歩留まり率とは、採用活動の各プロセスに進んだ転職希望者数の割合のことです。この数値が高ければ、選考辞退や不合格となる転職希望者が少なく、採用活動を効率良く進められていると判断できます。
歩留まり率は、以下の計算式で算出可能です。
歩留まり率を算出する計算式
選考を通過した人数÷選考に参加した人数×100
分析する際は、採用活動のプロセスごとに歩留まり率を算出して比較しましょう。明らかに数値が低いプロセスがある場合は、選考辞退や不通過となる転職希望者が多い理由を探った上で改善が必要です。
エンゲージメント
エンゲージメントは、転職希望者が企業に対して抱く関心度や信頼度、入社意欲の高さを示す指標です。特に、SNSを使った採用活動(ソーシャルリクルーティング)では、成果を確認するための数値として重視されています。
SNS上でのエンゲージメント率は、以下の計算式で算出できます。
SNS上でのエンゲージメント率を算出する計算式
投稿に反応したユーザー数÷投稿を見たユーザー数×100
ソーシャルリクルーティングを行う際は、SNSの運用を続けながら投稿ごとにエンゲージメント率を算出し、比較することが大切です。反応が多い投稿と少ない投稿の違いを分析し、「求める人材に反応してもらうには、どのような投稿をすれば良いか?」という観点から見直しましょう。
【課題別】具体的な採用分析の手法
ここまでで説明した内容を踏まえて採用分析を実行するには、具体的にどのように進めれば良いのでしょうか。本項では、以下の課題別に、分析の進め方と改善方法を解説します。
採用活動でよく生じる課題
- 費用対効果の高い求人広告を把握したい
- 選考辞退や入社承諾前辞退を減らしたい
- 早期離職率を減らしたい
- 採用活動の効率化を図りたい
費用対効果の高い求人広告を把握したい
費用対効果の高い求人広告を見極めるには、求人広告ごとの成果を数値で比較することがポイントです。具体的には、次の計算式で1人を採用するためにかかった求人広告費用を算出できます。
求人広告の費用対効果の数値を算出する計算式
求人広告にかかった費用÷求人広告経由で入社に至った人数
例えば求人広告Aにかかった費用が100万円で、その広告経由で入社に至った転職希望者が2人だった場合は、100万円÷2人という計算式になります。つまり、1人を採用するためにかかった求人広告費は50万円です。対して、求人広告Bにかかった費用が200万円、入社に至った人数が5人だったとすると200万円÷5人となり、1人当たりの求人広告費は40万円です。両者を比べると、求人広告Bのほうが1人を採用するためにかかった求人広告費が少ないため、費用対効果が高いと判断できます。
このような分析を基に、費用対効果がより高い求人広告に予算を集中させることができれば、求人広告費の削減や採用効率の向上につなげられるでしょう。
関連記事:求人広告を載せる費用はいくら?成果を出すためのコツとは
選考辞退や入社承諾前辞退を減らしたい
各選考フェーズや入社承諾前に辞退する転職希望者が多い場合は、歩留まり率に注目しましょう。
例えば、1次面接を受けた人数が80人、そのうち2次面接に進んだ人数が20人だったケースを例に挙げて、分析の進め方を説明します。まず前述した計算式に当てはめて歩留まり率を計算すると、20人÷80人×100=25%となります。仮に前年度の1次面接の歩留まり率が40%だったとすると、15ポイントも低くなっていることがわかるため、原因の解明が必要です。
このように、選考辞退や入社承諾前辞退を減らしたいときは、各選考フェーズの歩留まり率を算出した上で、数値が著しく下がっているプロセスを見直すことが大切です。
早期離職率を減らしたい
早期離職率を減らすためには、採用段階から入社後までのデータを一貫して分析し、離職の要因を明確にすることが不可欠です。
例えば、入社後3カ月・6カ月・1年といった期間別の離職率や、職種別・配属先別・採用経路別の定着率などを整理します。このようなデータを分析することで、離職が発生するパターンや共通点を発見できます。
また、数値データだけでなく、アンケート結果のような定性データも併せて活用すると効果的です。職務内容の認識不足や人間関係・評価制度への不満など、離職の背景にある本質的な課題の把握に役立ちます。分析結果を基に、求人広告の表現や選考基準の見直し、配属前後のフォロー体制強化などを行うことで、早期離職率の低減につながるでしょう。
採用活動の効率化を図りたい
採用活動を効率的に進めるためには、各プロセスの日数を最適化する必要があります。現状を把握した上で長期間を要しているプロセスを見直し、短縮を図りましょう。
具体例として、中途採用の効率化を目指す場合を想定して解説します。中途採用の一般的なプロセスは、次の通りです。
中途採用の一般的な採用プロセス
- 母集団形成
- 応募
- 書類選考
- 1次面接
- 2次面接
- 最終面接
- 入社承諾
- 入社
上記の各プロセスにかかっている所要日数を整理していくことで、どの工程に時間がかかっているのかを把握できます。例えば「転職希望者との日程調整に時間を要している」というように、明確な課題が見つけられます。そのため、日程調整ツールや採用管理システムの導入といった最適な改善方法を検討できるようになるのです。
関連記事:採用プロセスとは?策定の方法や課題別の改善策を紹介

採用分析に活用できるツール
採用分析を行う際は、データ管理の手間を省くために、次の2つのツールを活用することをお勧めします。
採用分析に活用すると便利なツール
- 採用管理システム
- Googleアナリティクス
採用管理システム
採用管理システムは、転職希望者の情報の管理や選考プロセスの進捗(しんちょく)追跡などをデジタル化して一元管理するツールです。これを活用すれば、個別のファイルやメールで転職希望者の情報を管理する必要がなくなります。応募数や選考通過率、入社承諾率などのデータもリアルタイムで分析できるため、採用活動の現状把握や課題抽出を効率良く行えます。
さらに、転職希望者への対応の自動化やスケジュール調整の効率化が図れることも、採用管理システムを導入するメリットの一つです。結果として業務負担が軽減されると、分析に割ける時間が増え、採用戦略の改善につなげられます。
Googleアナリティクス
主にWeb上で転職希望者からの応募を募っているのであれば、Googleアナリティクスの活用も効果的です。
Googleアナリティクスとは、自社のWebサイトや採用ページ、採用リスティング広告のランディングページなどへのアクセス状況を分析できる、アクセス解析ツールのことです。
訪問者数や流入経路、閲覧ページ、離脱率などを確認することで、転職希望者がどのような経路でサイトに訪れ、どの情報に関心を持っているのかを推測できます。基本的な機能は無料で使用できるため、Web上での応募数を改善したい場合は導入すると良いでしょう。

採用分析を効果的に行うポイント
実際にツールを活用して採用分析を行う際は、以下のポイントを押さえておくことも大切です。
採用分析の効果を高めるためのポイント
- 1.分析の目的を定めてからデータを収集する
- 2.定量データだけではなく定性データも活用する
ポイント1.分析の目的を定めてからデータを収集する
採用分析を効果的に行うには、まず「何を改善したいのか」「どの課題を解決したいのか」といった目的を明らかにしましょう。その上で分析に必要なデータを洗い出し、収集を始めることがポイントです。分析の目的が不明確なまま進めると、方向性が定まらず、有効な改善策を導き出せなくなる可能性があります。
例えば、早期離職率を減らしたい場合と採用活動の効率化を図りたい場合では、指標とするデータや分析方法が異なります。従って、課題に応じた目的を最初に設定し、データを整理して分析することが不可欠です。採用分析を行う際は、本記事の内容も参考にしつつ、目的の設定とデータの取捨選択から始めてください。
ポイント2.定量データだけではなく定性データも活用する
採用分析では、応募数や選考通過率、入社承諾率などの客観的な数値を示す定量データが重要です。しかし、実効性の高い分析を行うには、転職希望者や現場の社員の声などの定性データも併せて活用する必要があります。定量データと定性データをうまく組み合わせることで、数値だけでは把握できない課題や改善点を明確にできます。
例として、選考辞退や入社承諾前辞退を減らすために採用分析を行うケースを考えてみましょう。この場合、歩留まり率を算出すれば辞退した転職希望者の割合は把握できますが、辞退した理由までは明確になりません。そこで、アンケート結果や辞退理由といった定性データの内容も照らし合わせることで、選考プロセスの問題点を多角的に理解できるようになります。
このように、定量データと定性データを組み合わせて分析することで、より実態に即した施策立案が可能となるため、採用活動全体の質の向上も見込めます。
採用分析は採用課題を解決するために重要
人材の採用が困難となりつつある近年では、採用分析を通じて、自社の採用力を高めることが重要です。分析に利用できるデータは多岐にわたるため、まずは自社の採用課題を明確にし、必要なデータを整理することから始めましょう。その上で定性データも併用し、採用活動の問題点を多角的に把握することが大切です。
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