管理部門の中途採用市場レポート(2020年5月発行)

2020年5月発行
職種別マーケットレポート

管理部門

管理(人事、経理等)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職

コロナショックで大きく変動する転職市場。
採用成功のカギは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」

マーケット概況

2020年2月~4月における管理部門、企画・マーケティング部門の求人数は、2019年11月~2020年1月と比較すると10%ほど減少。コロナショックを皮切りに採用に慎重になる企業が発生し、売り手市場からの変化が始まった。一方で採用競合が減少している状況をチャンスととらえ、成長企業は積極採用を進めている。先行きが不透明な中、現時点で採用を進めている企業の採用目的は、管理部門体制強化や新規事業開発、デジタルビジネスの強化、営業戦略の再構築など組織変革が目的であることが多い。
転職希望者側は、近年の就業価値観の多様化に伴い、「今以上に自分の理想の環境・キャリアに近い場所」での就業を求める傾向が強まっている。
現職を退職するリスクの代わりに得られるベネフィットの大きさを重要視し、理想に少しでも近づけなければ転職しないと考える傾向があることに加え、コロナショックの影響でリスクテイクに対する心的障壁が上がってきている。そのため、選考中に高かった入社意向が、希望に届かない採用条件の提示を受けて大きく下落したり、採用競合がより高い採用条件を提示したことによって志望度が逆転するというケースも多々発生している。

採用成功のポイント

ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」

配属部門からの増員要請であがってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。募集時には現場と適切に採用要件をすりあわせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイント。
営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に採用候補者があがってくるという状態にはなりにくい。初回の母集団の中で内定に至らない場合は採用が長期化するケースが多い。総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下3つ。

  • 募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
  • 募集後の初回の母集団で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める
  • 選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
管理・企画・マーケティング部門の転職支援経験豊富なキャリアアドバイザーチームが、
貴社の担当営業と連携し、貴社の採用を支援します。お気軽に貴社担当営業にお問い合わせください。

経理・財務職

ここがポイント
  • 2020年2月~4月の登録者数は、2019年11月~2020年1月に対し88%と減少
  • 2020年2月~4月の求人数は、2019年11月~2020年1月に対し92%と微減。中堅・リーダー層の採用が激化、対象範囲の拡大がポイント
  • (1)転職市場の状況に合わせた適切な要件定義
    (2)入社後の仕事内容・キャリアパスの明確化
    (3)Web面接等も導入した短期集中型選考

経理・財務職の登録者動向

登録者詳細
経理・財務職の登録者詳細(2020年5月)

対象:2020年4月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
41歳以上の登録者が、42%を占めており、管理部門職種の中でも平均年齢が高い傾向にある。
職種
「経理(財務会計)」が65%と過半数を占め、「管理会計」が16%、「財務」が14%、「内部統制」が9%であり、登録者の構成に大きな変化はない。
特に、事業会社の経理(財務会計)の採用においては、事業会社での実務経験者の獲得競争が激化しているため、経験年数の短いポテンシャル層・第二新卒層や、経験豊富なシニア層、あるいは事業会社以外のコンサルティング会社や会計事務所などでの経験者まで対象者を幅広く見ていきたい。
業界
メーカーが26%と突出しており、建設・プラント・不動産が9%で続いている。その他の業界の経験者も幅広く登録しているため、出身業界は限定せず検討していきたい。
志向性
経理職経験者においては、経理領域における業務範囲の拡大、専門性の向上を希望する傾向がある。また、上場企業での連結決算・開示業務やIPO、業務改善やマネジメントなどの難易度の高い業務に挑戦できる環境を求める転職希望者もいるが、全体的に見ると腰を据えて着実にスキルを積んでいきたいと考える安定志向の転職希望者が多数を占める。入社企業の決定の際には、業界・会社の安定性や、残業時間などの就業環境面を重視する傾向が強い。
コロナウイルスの影響
コロナウイルスの影響で、3月決算の企業の決算提出の締め切りや、確定申告の期限が後ろ倒しになり、転職希望者が動きづらい状況であった影響も出ていると考えられる。一方で、中小規模の企業を中心に業績悪化による休業や解雇も発生している。また、会社の危機対応に不信感を持ち転職活動を開始するケースも発生している。

経理・財務職の求人動向

求人マーケット動向
経理・財務職の求人マーケット動向(2020年5月)

対象:2019年11月1日~2020年4月30日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

各社のニーズは、事業会社の決算業務やマネジメントの経験のある中堅・リーダー層に集中しており、この層は獲得競争が激化している。そのため、選考において学歴・転職回数などの条件を幅広く検討したり、簿記資格を保有している未経験者にもターゲットを広げて検討している企業も見られる。コロナウイルスの影響による採用計画の変更や在宅勤務への移行のため、採用が保留・中断となる求人も一定数あったが、Web面接などを導入して選考を進めている企業では、採用が成功している傾向にある。

経理・財務職の採用成功POINT

まずは転職市場の状況に沿った適切な要件定義のもと、採用要件の緩和や拡大を行う必要がある。配属部署の担当者が採用に慣れていない場合、非現実的な採用要件で募集を行ってしまい、数年スパンで長期化してしまうケースもあるので注意したい。経験者は経理領域における業務範囲の拡大、専門性の向上を希望する傾向があるため、自身の希望する働き方が安心して実現できる環境かどうかを非常に重視する。業務内容や今後のキャリアパス、配属組織の構成、会社全体の事業展開など細部も含めてそれを判断するため、求人票や面接でしっかりと情報提供を行うことがカギとなる。また、転職活動に時間を割くことができる閑散期に効率良く選考を進めたいと考える転職希望者が多いため、「短期集中型選考」を実現することで採用成功の可能性が高まる。初回募集時の母集団内で絶対評価で判断し、競合他社に先駆けて内定・条件提示まで進めていきたい。また、現在はコロナウイルスの影響で在宅勤務となっている転職希望者も一定数いる。通常は日中の面接が難しいが、休憩時間に合わせてWeb面接を調整し、選考を前進させていきたいと考える転職希望者も多いため、Web面接の導入も進めていきたい。

人事・総務職

ここがポイント
  • 登録者数は減少。40代の登録者が増え20代は減少傾向。コロナショックによる不安から安定性を求める層が増加
  • コロナショックから即戦力として経験者・ベテラン人材の求人が増加傾向
  • 経験内容を重視し、オンライン面接の導入で採用スピードの向上を

人事・総務職の登録者動向

登録者詳細
人事・総務職の登録者詳細(2020年5月)

対象:2020年4月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
40代の登録が約38%と増加。早期退職制度を使う層も一定数いる傾向。25歳以下の第二新卒層の登録数は全体の約6%と減少傾向。
職種
採用・教育が約37%となっており増加傾向。次いで総務が約30%、労務・人事制度が約17%、給与社保が約10.%と続く。総務は株主総会・ファシリティ関連業務から日常的な庶務業務担当者も含まれており、登録者も増加している。
業界
トップはメーカーで22%、人材サービス・、インターネット・広告、IT・通信などの無形業界出身者も増加傾向。また、コロナウイルスの影響が大きかった小売・サービス業界からの登録者も増加傾向にある。
志向性
会社存続の安定性・今後の事業の成長性などを重視する登録者が増えている。給与社保担当者は長期的に働ける環境を好む傾向がある。採用担当者や制度担当者については、キャリアアップを目指す層も多く、人事制度、戦略人事、タレントマネジメントなどチャレンジできる環境を求めている層も増えている。

人事・総務職の求人動向

求人マーケット動向
人事・総務職の求人マーケット動向(2020年5月)

対象:2019年11月1日~2020年4月30日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

採用・教育
コロナショックから採用活動停止や研修実施が滞っていることから求人数は減少傾向。
給与・社保
アウトソーサーなど依然ニーズは高い。実務経験の少ない若手ポテンシャル採用を進めてきたが、教育コストをかけられない背景から、即戦力として活躍できるベテラン層の採用を積極的に行っている傾向。
制度
リモートワークの導入をはじめとし、評価制度・賃金制度の改定、法改正に伴う制度の見直しなどニーズは高い。

人事・総務職の採用成功POINT

実務経験豊富な40代の登録が増えているため、即戦力としての活躍が見込め、組織構成に合うようであれば採用も視野に入れたい。
一方で若手(20代~30代)の経験者は選考スピードや面接での印象、就業条件、会社のビジョンなど、あらゆる角度から判断する傾向もある。
緊急事態宣言下の採用活動でオンライン面接が普及したことに伴い面接を実施するハードルが下がっているため、転職活動がしやすくなっている転職希望者も一定数いる状況。
対面での面接を必須とせず、オンラインで早期に選考を進めていけるか否かが採用活動の成功ポイントとなる。

法務・知的財産・内部監査職

ここがポイント
  • 依然として登録者は少なく、平均年齢は高め。会社の成長フェーズに携われる、といった成長環境を希望する層が増加
  • コロナショックで4月の求人数は減少したものの、2019年11月~2020年1月比では横ばい
  • 経験者・弁護士資格保有者に複数のオファーが集中する傾向。挑戦できる環境を提供できるかがカギ。知識ある未経験ポテンシャル採用も積極的な検討を

法務・知的財産・内部監査職の登録者動向

登録者詳細
法務・知的財産・内部監査職の登録者詳細(2020年5月)

対象:2020年4月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
40代以上の登録者が57%と、管理部門の中でも平均年齢が最も高い。
職種
法務が約57%を占め、次いで内部監査(約24%)、知財(約19%)の順で登録者が多い。
業界
メーカー出身者が半数を占め、割合としては依然として多い。次いで金融、IT・通信と続く。コロナウイルスによる影響を大きく受けている小売・店舗・レジャーは、業績不振やそれに伴う自身の業務範囲の縮小などを理由に増加傾向。
志向性
法務は業務範囲を広げたいという志向性が目立つ。契約書チェック等の限られた業務だけでなくグローバルやM&A、新規ビジネス関連など、現職より学べる環境を求めている傾向。弁護士試験を続けてきた方や法学部出身で企業法務への挑戦を希望する層も増加している。

法務・知的財産・内部監査職の求人動向

求人マーケット動向
法務・知的財産・内部監査職の求人マーケット動向(2020年5月)

対象:2019年11月1日~2020年4月30日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

海外展開やM&Aなど、事業成長フェーズの業界・企業での募集はやや増加傾向にある。
法務機能の内製化が進んだり、コロナウイルスの影響により巣ごもり需要が増えているが、IoTやECなどの法対応は引き続き増加すると想定される。中でも人材サービス業界、IT・通信業界やインターネット・広告業界は、弁護士を目指していた方や法学部出身者など知識のある未経験者の採用を積極的に進めている傾向にある。 知財においては、理系バックグラウンドが必要な技術系の発明発掘・特許化だけでなく、商標系の案件も微増している。

法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT

弁護士資格保有者は依然として採用難易度が高く、即戦力となる法務の実務経験者も複数のオファーが集中している状況。
M&A・海外法務など、法務として経験の幅を広げられるか、難易度の高い業務に挑戦できるかを見定める傾向。
また、会社としての事業戦略や方針などが担当業務に影響してくることも多いため業界の成長性などから携われる業務を判断する傾向もあり、コロナショックを経た後のキャリアビジョンを面接でどれだけイメージさせられるかがカギとなってくる。また、適切に採用要件を設定することで、未経験やポテンシャル層までターゲットを広げられるかも重要。

購買・物流職

ここがポイント
  • 2020年2月~4月の登録者数は、2019年11月~2020年1月に対し98%とほぼ横ばい
  • 2019年11月~2020年1月の求人数は2019年8月~10月に対し97%と微減。労働力不足、業務改善をテーマとした採用ニーズが引き続き高い
  • 採用要件定義は「業務遂行能力」にフォーカスすることが成功の秘訣。物流業界出身者やコンサルタントを積極的に検討したい

購買・物流職の登録者動向

登録者詳細
購買・物流職の登録者詳細(2020年5月)

対象:2020年4月にdodaにご登録いただいた転職希望者

年齢
登録者の内訳は、30歳以下が34%、31~40歳が29%、41歳以上が37%と各世代に分散している。前四半期と比較すると、41歳以上の割合が5ポイント増加している。
倉庫管理・在庫管理や貿易実務などのオペレーション中心の業務の担当者は年齢層が低く、SCMや物流企画、購買調達など上流工程の担当者は30代・40代以上が中心。
職種
「倉庫管理・在庫管理」が38%、「購買・調達・バイヤー・MD」が25%、「物流管理」が21%と続いている。ニーズが高まっている「SCM企画・物流企画・需要予測」は全体の7%と希少であり、求人数と登録者数にギャップが生じている。
業界
運輸・物流業界が39%、荷主側であるメーカーが37%、商社が10%、小売が9%と続く。
志向性
倉庫管理・在庫管理に従事している転職希望者は、就業環境改善や物流の上流工程への挑戦を希望しているケースが多い。
また、営業職などの他職種へのキャリアチェンジを希望することもある。経験豊富なミドル層以上は、一部分の管理的業務から企画・戦略業務へのステップアップなど、 現職では経験できない、あるいは到達するまでに時間がかかる領域への挑戦を希望しているケースが多い。

購買・物流職の求人動向

求人マーケット動向
購買・物流職の求人マーケット動向(2020年5月)

対象:2019年11月1日~2020年4月30日にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。

物流業界においては、ECの増加などによる慢性的な労働力不足に加えて、働き方改革も急務となっており、求人ニーズは活況となっている。現場のオペレーション業務においては、物流業務の経験がなくても、調整・改善業務の経験があればターゲットとする企業が増えてきている。
メーカー・商社など事業会社の物流・購買調達部門においては、業界・取扱商材などの親和性を強く求める求人が多い。
コロナウイルスの影響による業務の混乱や採用計画の変更により、特に海外とのやり取りのある部門の求人は選考が保留・中断となったケースもある。

購買・物流職の採用成功POINT

SCMや物流企画などを担う人材は希少で、採用が難航しがち。需給予測やコスト判断などの企画業務自体には業界特有の要素が薄いことから、企画力や推進力を評価し、「業界へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保する企業の採用が成功している傾向にある。異業種の類似業務経験者や物流コンサルタント、3PLで物流企画をしている方なども検討に入れ、対象を拡大していきたい。商材経験が必須であれば、同商材の営業経験者を検討するなど、視点を変えて採用を行っている企業が見受けられる。
倉庫スタッフでも作業効率などを重視する際には他業界でBPRや業務改善の経験者を登用するなど、できる限り対象範囲を広げておくことがポイントとなる。また、キャリアパスを気にする方も多く、明確にするか、いくつかのルートがあるという選択肢を見せることもポイント。資材購買も同様で対象範囲を広く検討したい。
また、面接時間のアレンジは柔軟に対応したい。通常時から日中~夕方は勤務を抜けられないケースが多いうえに、コロナウイルスの影響で忙しさが増している転職希望者も多いため、平日19時以降や、土日の面接枠があると参加率は向上する。勤務地が遠隔地であることも多いため、Webを活用した遠隔面接も大変有効である。

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