2025.07.25
中途採用のキホン
採用活動を行う上では、採用人数はもちろんのこと、費用についても意識を向ける必要があります。採用活動の予算を考えるにあたり、重要な指標となる費用が「採用単価」です。
本記事では、採用単価の計算方法や目安、単価を抑えるためのポイントなどを解説します。予算の範囲内で効果的な採用活動を進めるための方法にお悩みの人事・採用担当者はご覧ください。
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採用単価とは
1人当たりの採用にかかる費用の合計を「採用単価」といいます。採用単価の内訳には、自社内で発生する「内部コスト」と、各種専門サービスや外注業者などに支払う「外部コスト」があります。
企業規模や採用計画などによって、採用単価は大きく異なるものです。予算超過を起こさないためにも、採用単価を把握する必要があるため、しっかりと押さえておきましょう。
内部コスト
採用単価に含まれる費用のうち、「内部コスト」と呼ばれるものには以下の費用が挙げられます。
内部コストの具体例
- 人事・採用担当者の人件費
- リファラル採用で人材を紹介した社員へのインセンティブ
- 転職希望者に支給する交通費
上記を見るとわかるように、内部コストは主に「採用にあたって自社の社員に支払う費用」から成っており、ほかに転職希望者に交通費などを支払う場合はその費用も含まれます。
前者の「自社の社員に支払う費用」について、まず挙げられるものが人事・採用担当者の人件費です。人事・採用担当者の業務は多岐にわたり、業務時間が長引くと採用コストに直結するので、コストを抑えるためにも業務効率や業務量も意識する必要があります。
リファラル採用でのインセンティブや、転職希望者への交通費を支払う場合は、支払いに関するルールをあらかじめ決めておきましょう。
外部コスト
採用活動を行う上で外部に支払う費用が「外部コスト」に該当します。具体例は以下です。
外部コストの具体例
- 求人広告や人材紹介サービスの利用料金
- 採用管理システムなど、業務に使うツールの利用料金
- 説明会や面接などに使う会場の利用料金
- 採用パンフレットや採用サイトの制作費用
外部コストの主要な項目としては、外部サービスの利用料金が挙げられます。また、人事・採用担当者の業務効率を改善するために専用ツールを導入するのであれば、その利用料金も外部コストに含まれます。
専用ツールの導入にあたっては、「具体的に、どの程度の人件費(内部コスト)を削減できるのか」「そのためにどの程度の利用料金(外部コスト)が発生するのか」を明確にし、最終的に採用単価を抑えられるかどうか?という基準で検討しましょう。
ほかにも、説明会や面接などの選考過程で外部の会場を使用するのであれば、その利用料金も外部コストとして発生します。また採用ブランディングのためにパンフレットや採用サイトを制作する場合は、基本的に外注となるため、その費用も外部コストに含まれます。
採用単価の重要性
自社の利益率低下を起こさずに、事業活動と並行して採用活動を行うためにも、採用単価を意識することが重要です。
また、採用単価を見直すことで採用業務の改善につながる可能性もあります。詳しくは後述しますが、採用単価が高い場合、「採用業務の効率が悪い」「効果の低い採用手法を取り入れていて、無駄な外部コストを払っている」などの原因が考えられます。
これらの原因を改善していけば、採用単価を削減できるだけでなく、結果的に自社の採用効率も改善するでしょう。
自社の経営に影響を与えず、効率的に採用活動を行うためにも、採用単価に意識を向けることは非常に重要なのです。
採用単価の計算方法
採用単価を算出する計算式は以下です。
採用単価=採用コストの総額(内部コスト+外部コスト)÷採用人数 |
まずは、先述した内部コスト・外部コストの例を参考に、すでに発生しているコストを合算します。その数値を、実際に採用した人数で割ることで、採用単価、つまり1人の採用に要した金額がわかります。
採用単価の平均相場
ここでは、採用費用・単価の相場を条件別に紹介します。どの条件で見るかによって平均値も異なりますので、以下4つの例から、自社の参考になる項目をご覧ください。
ケース別・採用単価の相場
- 【従業員規模別】通年の平均採用費用
- 【業種別】通年での平均採用費用
- 【新卒者採用】の平均採用単価
- 【中途採用】の平均採用単価
【従業員規模別】通年の平均採用費用
株式会社マイナビが実施した「中途採用状況調査2025年版」では、従業員規模別の採用費用がわかっています。採用単価は公開されていませんが、トータルで発生した採用費用の平均値が参考になるでしょう。
2024年の1年間で発生した中途採用費用の平均値は、従業員規模別で見ると以下のようになっています。
従業員規模別・中途採用の平均採用費用(2024年)
3~50名 | 119.3万円 |
51~300名 | 247.3万円 |
301~1,000名 | 564.9万円 |
1,001名以上 | 1,461.8万円 |
上記を見るとわかるように、同じ期間内に発生した採用費用でも、従業員規模によりその平均額は大きく異なります。基本的には、従業員規模が大きくなるごとに採用費用も高くなると考えて良いでしょう。
(参照:株式会社マイナビ『中途採用状況調査2025年版(2024年実績)』p93)
【業種別】通年での平均採用費用
前述した、株式会社マイナビの同調査では、業種によっても平均採用費用が異なることがわかっています。以下に一部内容を抜粋しました。
業種別・中途採用の平均採用費用(2024年)
IT・通信・インターネット | 694.9万円 |
メーカー | 853.8万円 |
流通・小売・フードサービス | 303.8万円 |
運輸・交通・物流・倉庫 | 1,459.6万円 |
流通・小売・フードサービス業の平均採用費用は303.8万円であるのに対し、運輸・交通・物流・倉庫業は1,459.6万円と、4倍以上もの費用が発生しています。この結果から、慢性的な人手不足に陥っている業種ほど、採用費用がかさんでいることが読み取れます。
(参照:株式会社マイナビ『中途採用状況調査2025年版(2024年実績)』p93)
【新卒者採用】の平均採用単価
就職みらい研究所が公表している「就職白書2020」では、2020年卒の新卒採用、つまり2019年度の採用活動で発生した平均採用単価は93.6万円であることがわかっています。2018年度の平均採用単価は71.5万円であったため、上昇傾向が見られます。
いずれも少し古いデータですが、採用の「売り手市場」が続く現状を踏まえると、近年はさらに採用単価が上昇していると考えられるでしょう。
(参照:就職みらい研究所『就職白書2020』p11)
【中途採用】の平均採用単価
新卒採用と同様に、中途採用の平均採用単価についても、就職みらい研究所の「就職白書2020」で公表されています。2019年度に実施された中途採用の平均採用単価は103.3万円で、新卒採用よりも費用がかかっていることがわかります。
なお、平均採用単価が上昇している点は新卒採用と同様です。2018年度の平均採用単価は83.0万円と試算されています。たった1年で20万円ほど増加し、1人の採用に100万円以上かかるようになったということです。
中途採用でも、新卒採用と同様に売り手市場が続いているため、近年はこれよりもさらに採用単価が上昇していることが考えられます。
(参照:就職みらい研究所『就職白書2020』p11)
採用単価が高騰してしまう原因
「自社の採用単価が、平均よりも高い…」とお悩みの人事・採用担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。採用単価は、主に以下の原因で高騰します。
採用単価が高騰する原因
- 求める人材のハードルが高く、市場価値が高い
- 採用手法やツールを過剰利用している
- 採用手法の効果計測と見直しができていない
求める人材のハードルが高く、市場価値が高い
自社の採用単価が高騰する原因として、「求める人材の条件が高く、採用活動が長期化している」ことがまず挙げられます。市場価値の高い人材を求めることで採用の難度が上がり、それによって採用活動が長期化し、そのぶんコストもかさんでしまう…ということです。
また、転職希望者の市場価値に見合った報酬を提示するため、入社時の給与を高く設定し、それによって採用単価が高くなる場合もあります。
採用手法やツールを過剰利用している
各種採用媒体や専用ツールは、採用活動を効率的に進めるために有効です。しかし過剰に利用すると、そのぶんコストがかかり、結果として採用単価を引き上げてしまいます。
よく起こり得るケースとしては、「いくつもの媒体に求人広告を同時に掲載している」「求人広告を長期間にわたって掲載している」といったものが挙げられます。計画的に行っているのであれば、複数の媒体への掲載や一定期間での利用は問題ないでしょう。しかし期間を設定せずに利用し続けていると無駄に外部コストがかかってしまいます。
またツールの利用に関しても同様です。「あれもこれも」と、さまざまなツールを導入すると、当然ながら費用が積み重なります。
採用手法の効果計測と見直しができていない
上述の「採用手法の過剰利用」と関連する要因として、「『その採用手法は自社にとって価値があるものなのか』を見直すことができていない」といったものも挙げられます。つまり、「何となく」で採用媒体を契約し、その後適切に効果測定ができていないまま「何となく」で使い続けてしまっているということです。
また当初は有効だった採用手法も、市場やトレンドの変化により効果が出なくなる場合もあります。そのような状況下で効果測定を行わず、「前から使っているから」という理由で利用を続けると、いつの間にか採用単価が上がっていた…といったことも起こり得ます。
採用単価を削減するためのポイント
採用単価が高騰する原因を踏まえた上で、自社の採用単価を削減するためのポイントも確認しましょう。
採用単価を削減するポイント
- 採用課題を明確にする
- 採用手法の見直し
- 採用広報に力を入れる
- 採用ミスマッチを減らす
- 内部コストを見直す
採用課題を明確にする
まずは、自社の採用課題を整理しましょう。採用単価が高騰しているということは、何かしらの採用課題が発生しているということなので、採用課題の把握が非常に重要なのです。
採用課題を洗い出すことで、採用単価が高騰している原因を特定できるほか、「この中で、特にどの部分にコストをかけるべきか」という優先順位をつけられるようになります。そのため、採用単価を主軸に置きつつ、自社の採用課題を整理する必要があるのです。
採用手法の見直し
採用単価のうち、外部コストが特にかさんでしまっている場合は、採用手法を見直しましょう。具体的には、以下の5つの方法が挙げられます。
採用手法を見直す際の具体例
- リファラル採用を実施する
- ダイレクト・ソーシングを利用する
- ソーシャルリクルーティングを実施する
- 自社の採用サイトや採用ページを見直す
- 求人メディアを利用する
関連記事:【採用手法一覧】中途採用に役立つ採用手法の種類や比較などを総まとめ
リファラル採用を実施する
外部コストを抑えられる採用手法としては、自社の社員に信頼できる知人を紹介してもらう「リファラル採用」がお勧めです。外部の求人サービスを使わないため、外部コストが基本的に発生しません。紹介者の社員に謝礼を支払う場合は、その費用が内部コストとなりますが、それでも外部コストと比べるとリーズナブルでしょう。
また、リファラル採用を行う場合、転職希望者は自社に関する情報を紹介者から共有してもらえるので、入社に際してミスマッチが起こりにくく、早期退職のリスクを抑えられるというメリットもあります。
関連記事:リファラル採用とは?メリットや報酬費用、注意点を解説
ダイレクト・ソーシングを利用する
外部サービスを利用する場合でも、従来の求人広告ではなく「ダイレクト・ソーシング」に切り替えることで、外部コストの削減につながる場合があります。
ダイレクト・ソーシングは、企業から転職希望者にアプローチする「攻め」の手法です。転職希望者からの応募を待つ「受け身」の採用ではなかなか応募が集まらない場合でも、ダイレクト・ソーシングで企業自らアプローチすれば、転職希望者に興味を持ってもらえる可能性があります。
関連記事:ダイレクト・リクルーティングとは?導入時のメリット・デメリットや事例を紹介
ソーシャルリクルーティングを実施する
ソーシャルリクルーティング(SNS採用)を実施するという方法も挙げられます。
SNSは基本的に無料で利用できるので、ソーシャルリクルーティングはコストがかかりません。なおかつ、拡散力があり、社内の雰囲気を転職希望者に伝えられるため、転職希望者は自分が実際にはたらいている様子をイメージしながら選考を受けられます。
つまり、外部コストを抑えて、ミスマッチのリスクが低い採用活動を行えるということです。
自社の採用サイトや採用ページを見直す
すでに採用サイトを運用している場合は、コンテンツを見直し、不足している情報を充実させましょう。
採用サイト経由で継続的に応募を獲得できるようになれば、外部サービスの利用頻度を抑えて外部コストを削減できます。採用サイトを運営するための内部コストは発生しますが、長期的に見ればトータルコストの削減につながるでしょう。
求人メディアを利用する
自社の採用サイトやSNSだけでは応募が集まらない場合は、一時的に求人メディアを利用するという選択肢もあります。求人メディアの利用料金は発生するので、結果的に外部コストが増えることとはなりますが、十分な人数が採用できれば採用単価は抑えられるはずです。
また、中には掲載が無料の求人メディアもあります。まずは無料のメディアに掲載して、様子を見つつ有料のサービスを検討する、といった使い方でも良いでしょう。
関連記事:求人広告とは?媒体ごとの特徴や費用・掲載までの流れを解説
採用広報に力を入れる
一見、採用単価とは遠い話に思えるかもしれませんが、採用広報に力を入れることも大切です。
採用単価を抑えるためには、コストを削減するだけでなく、採用人数を増やす必要もあります。多くの人材を採用するには、応募の段階で一定規模の母集団を形成しておくことが望ましいです。多くの転職希望者に「魅力的な企業だな」と感じてもらい、応募してもらうためにも、採用広報が必要ということです。
自社の採用サイトやSNSなどで、転職希望者に自社の魅力を伝えるコンテンツを発信しましょう。例えば、代表のインタビュー記事や、社員同士の対談記事などが掲載されていると、内部の雰囲気を転職希望者に伝えられます。
採用ミスマッチを減らす
「せっかく採用した人材が、すぐに退職してしまった…」ということもあるでしょう。そのような場合は採用活動をやり直すこととなるため、結果として、採用にかかったコストが無駄になってしまいます。
そのため、採用ミスマッチを減らし、できるだけ長い期間自社で活躍してくれる社員を採用することも、採用単価の削減につながります。採用ミスマッチを減らすためには、「退職する従業員に退職理由をヒアリングする」「求人広告の内容を精査する」などの策を講じると良いでしょう。
内部コストを見直す
外部コストだけでなく、内部コストを見直すことでも採用単価の削減につながります。
内部コストは人件費が大半を占めるため、外部コストと異なり「どこを削減すべきか」がわかりにくい傾向にあります。しかし、人件費であるからこそ、採用業務の効率を見直して業務時間を改善すれば、内部コストも削減できるでしょう。
つまり、内部コストの見直しは業務効率の見直しでもあるということです。採用業務のうち、工数がかかっている部分を洗い出して、効率化を検討しましょう。
採用単価の削減に取り組む際の注意点
最後に、採用単価の削減に取り組む際に押さえておきたい3つの注意点を紹介します。
採用単価の削減に取り組む際の注意点
- 費用対効果を必ず確認する
- 採用計画や基準を明確にする
- 入社後の人材育成に力を入れる
費用対効果を必ず確認する
ここまでで、採用単価を削減することを主軸に情報を伝えてきましたが、「ただ採用単価を削れば良い」というわけではない点を念頭に置く必要があります。採用単価は可能な限り抑えたいものですが、その上で効率的に人材を採用していくことが望ましいためです。つまり、「採用単価」と「結果」の費用対効果を考えることが非常に重要です。
特に外部サービスを新しく利用したり、反対に利用をやめる、あるいは他社のサービスに乗り換えたりする場合は「その結果、当初予定していたペースでの採用はかなうのか」をよく考えましょう。
関連記事:採用コスト(費用)の平均は?内訳や効果的にコストを削減するポイントを解説
採用計画や基準を明確にする
採用単価の削減にあたり、さまざまなコストを見直すと同時に、改めて自社の採用計画や基準も確認しておきましょう。これは、採用ミスマッチを防止するためです。
採用ミスマッチが起きると、人員を補充するために再度採用活動を行う必要があり、さらに採用単価が高くなってしまいます。採用ミスマッチを起こさないために、募集要項に掲載する内容と採用計画に差異がないように注意しましょう。また、採用基準を関係者間で共有し、認識を擦り合わせることも大切です。
関連記事:採用基準とは?決め方、見直す項目やポイントと注意点を解説
入社後の人材育成に力を入れる
人材が入社した後の育成やキャリア支援に力を入れることも大切です。なぜなら、採用活動はあくまでも経営計画を実現するための手段であり、採用そのものが目的ではないためです。
自社で長く活躍してくれる人材を育てるために、採用後のフォロー体制にまで意識を向けましょう。社員にとって良い職場環境が構築できれば、企業イメージが向上し、将来的にはそれがきっかけで応募してくれる転職希望者が増えることも期待できます。そうなれば、結果的に採用単価の削減にもつながるでしょう。
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採用単価を意識することが、採用活動の最適化につながる
今回は、採用活動を行う上で意識したい「採用単価」について解説しました。
採用活動で発生しているコストを把握し、コストパフォーマンスの最適化を図るためにも、採用単価を意識する必要があります。まずは自社の採用単価を把握し、相場と比べてコストがかかっている場合は、原因を把握した上で採用単価を削減する策を講じましょう。
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