管理部門
管理(人事、経理など)部門中途採用マーケットレポートは、dodaに登録いただいた求人・登録者から、下記の職種の登録者動向・求人動向・採用ポイントをまとめたレポートです。
※該当職種:経理・財務職、人事・総務職、法務・知的財産・内部監査職、購買・物流職
マーケット概況
2024年2月~4月における管理部門の登録者数は、管理領域の多くの職種において2023年11月~2024年1月対比99%でやや減少した。管理部門職種は年末年始に繁忙期を迎えることが多く、例年通りであれば鈍化傾向となり、年度末・新年度を迎えるタイミングから徐々に動きが活発化していく。
求人数は2023年11月~2024年1月対比で102%の微増となっており、企業規模を問わず、多くの企業が管理部門の欠員補充や業務フロー再構築など体制強化に向けて1~2人程度の増員を予定しているようだ。
求職者側は、「現職ではキャリアアップが叶わない」、「残業が多く長期就業のイメージが持てない」、「会社の経営状態が安定しないため長期的な就業が難しい」といった不安を抱き、今後の見通しが立たない現況を打破すべく転職活動を開始するケースが多いが、「現職以上に良いところがあれば転職を考えたい」と考え、慎重に転職活動を行う層も少なくない。さらに、キャリアのあるベテラン層が登録するケースも増加しており、即戦力として採用される事例も増えている。
リモートワーク可能な環境を転職条件に含める求職者の割合も多く、リモート環境下においてのWeb面接が定着化しているため、採用活動においては柔軟かつスピーディーな選考が必須となるだろう。
採用成功のポイント
ポイントは「採用要件適正化」「スピード」「意向醸成」
配属部門からの要請で上がってくる採用要件には、任せたい業務内容に対してオーバースペックであるケースや、採用マーケットとのズレが生じているケースが多く見受けられる。募集時には現場と適切に採用要件をすり合わせ、採用マーケットを考慮した要件で進めていくことが採用成功のポイントとなる。
また、管理部門というカテゴリでは、営業職や技術職と比べて対象となる母集団が小さく、継続的に求職者から応募がある状態にはないため、初回の母集団形成の中で内定に至らない場合は、採用活動が長期化することが多い。
求人も採用枠が少ないケースが多く、求職者側は複数社へ併願している場合も多い。そこで他社との差別化や自社求人の魅力訴求が重要となり、面接通過者には都度、評価ポイントをフィードバックすることや事業・職務の魅力を伝えること、入社後に想定されるギャップを事前に埋めていくことなどが有効となる。
総じて、当該領域の採用に成功している企業に共通するポイントは以下の3つである。
(1)募集を行うタイミングで、現場と適切な要件定義をする
(2)募集後の初回の母集団形成で、内定・入社まで進める「短期集中型」の選考を進める(Web面接の導入、書類選考の早期回収、選考回数の削減など)
(3)選考からオファー提示に至るまで、常に求職者の希望に沿う情報を提供する
加えて、Web面接を導入することにより、転職希望者の面接場所への移動コストが軽減され、面接が受けやすくなるため、選考期間は従来と比べ短くするほうが採用成功につながりやすい。
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経理・財務職
- 2024年2月~4月の登録者数は、2023年11月~2024年1月対比96%と減少
- 2024年2月~4月の求人数は、2023年11月~2024年1月対比103%と増加傾向
- 転職軸(希望や払拭したい点)に対して、自社の魅力をアピールできる体制づくりを
経理・財務職の登録者動向
対象:2024年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
登録者数は年度末決算の繁忙期の影響もあり、2024年1月は高い水準で推移した後、2月から4月にかけて微減していった。前期比(2023年11月~2024年1月)では、96%で減少傾向となった。
職種別としては、「経理(財務会計)」の割合が最も高く64%、次いで「管理会計」が16%、「財務」が11%、「内部統制」が9%と続き、割合の変化は前期から見られない。
出身業界別では「メーカー」出身者が最も多い傾向は変わらず30%を占める。次に「建築・プラント・不動産」が12%と続いている。
また、会計事務所や税理士法人・監査法人など専門性の高い実務を経験している人材が、事業会社の経理・財務という領域で新たなキャリアを築いていくような転職モデルも徐々に増えている。
経理・財務職の求人動向
対象:2023年11月~2024年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2023年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
経理・財務職ポジションの求人数の傾向としては、毎年下半期に増加する特徴があり、今期も例年にならい求人数は増加傾向となっている。
今後同ポジションについては、直近の景況などにより求人数増加のペースは緩やかになることが予想されている。しかし求人数は、昨対比を越える状況が続いており、引き続き「売り手市場」と言っても差し支えのない状況となっている。
経理・財務職の採用成功POINT
採用したい人材のスキル・経験やペルソナを想定し、その人材が抱えている転職軸(希望や払拭したい点)に対して自社の魅力が刺さるようなアプローチが重要である。特に同ポジションの転職理由のポイントは大きく以下の2点に絞られる。
- 「安定志向の強さ」・・・例えば、「会社・業界の先行きが不安」「給与に不満がある」「会社の評価方法に不満がある」「恒常的な残業や土日の休日出勤がある」といった環境・処遇などに対する不安や不満から転職活動を始めるケース。
「長く安定して就業できるかどうか」を応募の判断基準にする傾向が強いため、そのアプローチも会社の業績やビジネスモデル、商品・サービスの優位性を数値データなどで根拠を踏まえて伝えることや、給与・評価といった制度面での情報をできる限りオープンにすることなどが採用成功のポイントとなる。さらに、過去に中途採用で入社した方の情報や、配属部署の人数・構成、年齢層や男女比など、職場の雰囲気や人間関係が感じられる情報は、応募や入社を決断する後押しとなる。
また最近は、社会情勢の変化からリアルオフィスへの出社を余儀なくされるケースも増えており、リモートワークや在宅勤務を訴求する企業に応募が集中するといった傾向もある。 - 「スキルや能力向上に関する意欲」・・・ケースとしては「専門知識を習得したい」「新たな業務に挑戦したい(業務範囲を広げたい)」「管理職・マネジメントを目指したい」といったスキルや能力向上に関する候補者の意欲の高さが挙げられる。そこで求人票などには、業務内容の詳細(業務範囲・専門性・役割<リーダー、マネジメント>など)を分かりやすく具体的に記載できるかも重要なポイントとなるだろう。
大手企業出身の転職希望者の中には、「上場企業での連結決算・開示業務」や「IPO準備(組織体制の整備や各種申請業務など)」といった業務内容に魅力に感じる方もいれば、「社長や経営層に近い立場で事業推進や新規事業立ち上げに参画できる」といった、環境面に魅力を感じる方も一定数存在する。
選考時に将来のキャリアパスや期待する役割についての情報提供をしっかりすることで、求める人材を獲得しやすくなるだろう。また、経験が豊富な方ほど、複数社で選考が進んでいるケースが多いため、選考スピードの速さも採用成功のポイントとなる。
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人事・総務職
- 2024年2月~4月の登録者数は、2023年11月~2024年1月対比97%と微減
- 2024年2月~4月の求人数は、2023年11月~2024年1月対比108%と増加
- 求人の差別化を「働き方の柔軟性」の訴求で行う
人事・総務職の登録者動向
対象:2024年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 職種
- 「人事(採用・教育)」が39%、「総務」が28%、「人事(労務・人事制度)」が15%、「人事(給与社保)」が11%と続く。
- 出身業界
- 「メーカー」が22%、「人材サービス・アウトソーシング・コールセンター」が10%、「IT・通信」が9%を占める。ほかにも、「建築・プラント・不動産」「医薬品・医療機器・ライフサイエンス・医療系サービス」など幅広い業界出身者が登録している。
- 志向性
- 20代後半以降の転職希望者は、現在の経験を活かした転職を希望されるケースが多い一方で、第二新卒に該当する方は「やってみたいこと」にチャレンジする、いわゆるキャリアチェンジを希望されるケースも多い。また、全体的に「リモートワーク可能」「フレックス勤務可能」といった柔軟な働き方を希望する傾向が強く、それが転職理由と転職条件にも多くの影響を与えている。
人事・総務職の求人動向
対象:2023年11月~2024年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2023年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
2024年2月~4月の求人数は、前期(2023年11月~2024年1月)と比較して108%の増加となった。
同職種は、幅広い採用ターゲットに向けた多種多様な求人があることに特徴がある。例えば、即戦力としての活躍を期待するポジションから、ポテンシャル層、リーダー・マネジメント向けポジションなどさまざまである。しかし例年に比べると経験者をターゲットにしている求人が増加傾向にある。
また総務職については、その職務の一つに「自社の生産性を向上させること」をミッションにしている企業もあることから、庶務はもちろん、業務改善など戦略総務の観点を持った求人が増えていることもトレンドである。
人事・総務職の採用成功POINT
長期就業のために柔軟な働き方を希望する登録者が増えている。子育て、介護、ワークライフバランスの観点で「今すぐにリモートワーク・フレックス勤務が必要ではないが、今後のライフプランを考慮するとリモートワークの環境を整えたい」といったニーズが高まっている。
登録者の志向性も「キャリアを形成していく=長期的に就業が叶いそう」とイメージされる方が増えてきているため、求人などで「柔軟な働き方が実現できる」ことへのアプローチが人材の確保につながるだろう。
また、それに伴いオンラインや夜間帯のフレキシブルな面接実施が、採用を行っている他社との差別化・優位性を生むだろう。
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法務・知的財産・内部監査職
- 2024年2月~4月の登録者数は、2023年11月~2024年1月対比98%と減少傾向
- 2024年2月~4月の求人数は、2023年11月~2024年1月と対比103%と増加傾向
- 転職後の担当業務・領域、身に着くスキルや経験をイメージさせることがポイント
法務・知的財産・内部監査職の登録者動向
対象:2024年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 職種
- 「法務」が47%と大半を占め、「内部監査」が36%、「知的財産・特許」が17%と続く。
- 出身業界
- 「メーカー」が33%、「金融」が15%と高い比率を占める。次いで「IT・通信」が8%、「商社」が6%と続く。
- 志向性
- 法学部出身、未経験での法務希望者が増加している。また、さらなる専門性を磨きたいという理由により法律事務所から事業会社への転職を希望する方も増加傾向にある。
一方、経験者については、契約法務だけではなくグローバルな視点で成長していきたい方や、戦略法務などといった、より難易度の高い業務に挑戦をしていきたいと考える傾向にあるようだ。また、総務部門で法務を経験された方も一定数おり、そうした方は法務の業務をメインにしたいと志向しているケースが多い。
法務・知的財産・内部監査職の求人動向
対象:2023年11月~2024年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数。
※2023年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
法務についてはポテンシャル採用を含め、将来のリーダー候補を募集する求人なども増加傾向にある。また、海外展開やM&Aなど事業成長フェーズの業界・企業では、国際法務を担える人材へのニーズが高まりつつあり、さらに中小・スタートアップの企業においては、その他管理部門と並行して法務業務を担当する求人も増加しているといった状況だ。
近年では、社会全体でコンプライアンスやガバナンスの強化が行われている背景から、内部統制・内部監査ポジションの強化を図る企業も多い。一方で、知的財産や特許分野での採用は、経験者に限らず事務所出身や理系学部出身、技術者など未経験枠まで要件を広げるケースも増えてきている。
法務・知的財産・内部監査職の採用成功POINT
社会全体で法務・知的財産・内部監査職のニーズが高まっている中で経験者や資格保持者へのオファーが依然集中しているが、全体的にその対象となる転職希望者が少ないことから、各社で争奪戦が繰り広げられていることに変わりはない。
同ポジションの経験者は、現在の業務に物足りなさを感じている方、戦略法務やM&Aなどの領域で活躍したいと考える方などが多いため、入社後の担当業務・領域、どのような経験やスキルが身に着くのかといった情報提供がポイントである。
転職希望者の志向性としては、安定志向が強く、その企業で扱っている商材やサービスの世の中での普及度、認知度などにも興味・関心を持っている。そのため会社の業績やビジネスモデル、今後の展望や方針などを選考の過程で伝えていくことが大事である。
また、未経験枠の採用を検討するなら、過去の実績や経験、出身学部や学科などにこだわらず法務希望者や理系学部出身者まで要件を広げることをおすすめする。これらの属性を持つ転職希望者の登録も増えてきているため、ターゲット・ペルソナ、経験や実績、待遇面を適切に見直すことで、採用成功に近づけるからである。
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購買・物流職
- 2024年2月~4月の登録者数は、2023年11月~2024年1月対比で102%と微増
- 2024年2月~4月の求人数は、2023年11月~2024年1月対比で102%と微増
- 採用要件定義は「業務遂行能力」「ポテンシャル(類似経験)」にフォーカスする
購買・物流職の登録者動向
対象:2024年2月~4月にdodaにご登録いただいた転職希望者
- 職種
- 「倉庫管理・在庫管理」が35%、「購買・調達・バイヤー・MD」が28%、「物流管理」が19%、「貿易業務(輸出入業務・通関など)」が9%と続く。ニーズが高まっている「SCM企画・物流企画・需要予測」は全体の7%と希少であり、求人数と登録者数にギャップが生じている。
- 出身業界
- 「運輸・物流」が38%、「メーカー(機械・電気)」が19%、「メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)」が16%、「商社」が10%、「小売」が9%と続く。
- 志向性
- 「倉庫管理・在庫管理」に従事している転職希望者は、就業環境の改善や物流の上流工程への挑戦を希望するケースや、営業職、事務職などの他職種へのキャリアチェンジを希望するケースが多い。また、異業界への転職では、物流企業から荷主側であるメーカー・商社への挑戦を希望するケースも多い。
経験豊富なミドル層以上は、部分的な管理業務から企画・戦略業務へのステップアップなど、現職では経験できない、あるいは到達するまでに時間が掛かる領域への挑戦を希望しているケースが少なくない。
一方で、「貿易業務」の実務経験者においては、一層の専門性や職務の幅を求めるなど、スペシャリストとしてのステップアップを希望するケースが多いが、求人数が少なく限られていることから狭き門となっている。
購買・物流職の求人動向
対象:2023年11月~2024年4月にdodaにご登録いただいた求人件数と登録者数
※2023年11月の数値を「1」とした場合の変化を表しています。
物流業界においては、ECの増加による慢性的な労働力不足に加え、2024年問題に関連した働き方改革、そしてそれに伴う輸送戦略の見直しなどが急務となっている。求人ニーズは活況であり、求人数は右肩上がりで増え続けている。
各社DX推進やIoT技術を取り入れ、業務改善を行いたいというニーズが増えている。そのため採用ターゲットを広げる動きも各企業で活発化しており、例えば「現場のオペレーション業務や物流管理業務経験があれば業界は問わない」「調整・改善業務やスタッフマネジメントの経験があれば応募可能」などの求人が見られるようになった。
一方で、購買職においては経験者採用(職種・業界のマッチングを求める)の求人がほとんどである。メーカー・商社など事業会社の物流・購買調達部門の求人においては、担当していた業界や商材、対応していた物量、所属していた物流センターの規模など、親和性を求める求人が多いのも特徴だ。
購買・物流職の採用成功POINT
「SCM企画・物流企画・需要予測」職などを担う登録者は希少。求人ニーズとの乖離が見られるため採用が難航しがちである。
採用に成功している企業の特徴としては、「業務遂行能力」に着目し、異業種の経験を積極的に評価し、「商材へのキャッチアップ」を入社後の導入研修で担保している傾向にある。そのため物流コンサルタント、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)で物流企画をしている方などもターゲットに含めることで、採用成功を収めている企業もある。
採用ポジションによっては、商材経験が必須という場合もあることだろう。その際は、同商材の営業経験者、同商材を管理している物流3PL経験者などをターゲットに含めると良い。
ほかにも倉庫などで作業効率を重視する業務担当を採用したい場合、他業界でBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)経験を積んだ方や業務改善の経験者を対象に含めるなど、できる限り範囲を広げておくことが望ましい。
さらに、面接日時を柔軟に調整することも工夫の一つである。転職希望者のほとんどは、日中~夕方に勤務を抜けられない。あるいは管理業務に携わっている方ほど、現場のイレギュラーに対応している方がいるため、面接時間の確保が困難である。そこで「平日19時以降」や、「土日・祝日」の面接実施を可能にすることで、面接への参加率や採用スピードは向上する。
Web面接の活用も大変有効である。輸送会社や荷主側の物流関連職において、「短期集中型選考」を実施すれば、選考をスムーズに進めることができるため、採用成功の可能性はより高まっていくはずだ。
採用するためにどんな打ち手が有効か、
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※こちらのPDF版レポートは、経営者や人事・採用担当者の課題解決を手助けするWebメディア「d’s JOURNAL(ディーズジャーナル)」byパーソルキャリアからダウンロードできます。
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管理部門の中途採用市場レポート(2024年5月発行)ページです。【中途採用をお考えの法人様へ】dodaサービスのご案内 - 採用成功への扉を開く、総合採用支援サービス